世界的にみて

 

日本人の真面目で勤勉な労働力は

 

かけがえの無い資源です。

 

資源は日常に使っている時はその大切さに気づきませんが

 

その資源が乏しくなったり、使えない場所に行った場合、

 

考え方や、その様式そのものを変える必要があるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

先日の記事で不動産投資の話に触れましたが

 

時を同じくして日系外食企業のフィリピン市場参入も盛んになりました。

 

一番目立つ業態でいえばダントツでラーメン屋ですかね。

 

既に新規参入の熱は冷めてきているようですし、

 

一気に増えた業態では飽和状態からの淘汰が始まっているようです。

 

私的にフィリピン市場に飲食業態で乗り込む気概はありませんが

 

一番きになるのは

 

「日本の企業が海外に出店した場合、現地人を使った日本的なオペレーションとそれから生まれるジャパンクオリティーはどう変わるのか」

 

っという一点です。

 

日本の外食チェーンのクオリティーは非常に高いです。

 

一重にそれはきっちり仕組まれたマニュアルと

 

それに従う日本の労働資源が成せる賜物です。

 

海外でビジネスを運営や経営していて

 

現地の労働資源を使ったことがあれば分かると思いますが

 

海外ではその質が変わるわけで

 

その労働力の質の差が商品の質にどう影響するのか。

 

 

 

 

 

例えば海外で個人や小規模でやっていて

 

自社が提供している商品やサービスの品質管理に

 

どうも納得がいかない場合でも

 

「自分の指導が悪いのかな」

 

とか

 

「自分が作った程度ののマニュアルだと弱いのかな」

 

とか自問自答を繰り返すことになります。

 

それは自分がやってるだけでは比較ができないからですね。

 

んで、

 

膨大なノウハウと、優秀な人材と、洗練されたマニュアルを持つ

 

大手企業が海外でやってみるとどうなるのか?

 

ケーススタディとして大変な興味があるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

今回いくつかフィリピンに出店している

 

日本の大手チェーンの飲食店、

 

日本なら相当の知名度のあるチェーン4〜5社を視察してみました。

 

名指しでかくと色々問題になりますし

 

細かいとこを掘り下げても仕方ないし

 

ましてや各社1回程度の食事でどうこういうのもなんなんですが

 

ザクっと大きく2点について。

 

 

 

 

 

 

 

先ず、日本のマニュアルはガラパゴス。

 

ガラパゴスとか、こういった「いかにも」な言葉を使うのは好きではありませんが

 

敢えて分かりやすく言うとこの言葉になりました。

 

日本のマニュアルは素晴らしく、

 

それにそのまま従えば、ジャパンクオリティーそのまま、

 

ま、現地で手に入る素材の違いなどもあるので

 

そのままって訳にもいかない場合もあるでしょうが

 

日本のそれに近いものはできるのでしょう。

 

が、「従えば」少なくとも「沿えれば」の条件付きです。

 

恐らくですが、フィリピンの労働力は従っていないのだろうなと思います。

 

ちなみにこれはフィリピンに限るものではありません。

 

誤差の差、つまり誤差2%なのか10%なのか、の違いはありますが

 

海外ではそのまま従う方が珍しいと考えて良いと思います。

 

なので、日本人の几帳面で真面目な労働力は貴重であり、

 

それを基に作られたマニュアルは日本でしか成り立たない

 

ガラパゴスなマニュアルだと考えて良いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

次に安い労働賃金。

 

労働賃金についてはその国や地域の物価などの差や

 

実質の労働量の差なんかもあるので一概には言えませんが

 

フィリピンの労賃は安いです。

 

単に数字だけでみる場合、

 

アメリカや日本から見るとフィリピンの労賃は安く見えると思います。

 

ただ、経営視点からみた場合、

 

時間単位の賃金に実質労働量も測る訳です。

 

例えば、倉庫で一定の重さの箱を右の倉庫から左の倉庫に運ぶ仕事があったとします。

 

んで、

 

1時間$10で10個運ぶ人と20個運ぶ人は当然労働量はことなります。

 

荷物を20個運ぶ仕事があったとして

 

1時間$10で10個運ぶ人を2人雇うより、20個運ぶ人の時給を$15にした方が安くつきます。

 

んで、

 

アメリカでは、

 

途中同僚と雑談をしながら時給$10で1時間に10個運びます。

 

ただし、10個運ばなければ直ぐクビになります。

 

日本では、

 

黙々と作業をして1時間に12個運んで時給$9ほど貰います。

 

常にきちんと12個運んでくれるので経営者もクビにしたりしません。

 

フィリピンでは

 

先ず同僚とおしゃべりして、ちょっと運んで、携帯をいじって、ちょっと運んでの繰り返しで

 

1時間に3〜4個ほどしか運びませんが時給は$1だそうです。

 

余談的にグアムでは

 

真面目にやってる日は7個ほど荷物を運びますが、気分がのらない日は3個ほどです。

 

途中フッといなくなったり、連絡なく仕事に来なかったりしますが仕事をクビにされることはなく、

 

時給は最低時給の$8.25以上、今は相場で$9は当たり前です。

 

それらを踏まえて、

 

フィリピン人の実際の能力がどうかは分かりませんが、

 

日本人なら普通に行うマルチタスク(=同時進行)は苦手なようです。

 

なので、マニュアルに「AをしながらBをする」っとあっても

 

AをしているとBが疎かにになりがち。

 

んで、仕方ないのでAをする人とBをする人を雇うのですが

 

それでも時給は安いので大丈夫。

 

なんとか人海戦術で凌いでいる感じです。

 

 

 

 

 

 

 

ザクっとこの二つをまとめて、

 

能力には差があり、出来ることと出来ないことがあります。

 

また、得意なことと、不得意なこともあります。

 

日本人に良い点と悪い点があるように

 

フィリピン人やその他の外国人にもその両方があります。

 

日本のマニュアルが日本人用に作られているのだとしたら

 

それに従う人もいれば、添えない人もいます。

 

飲食店には大きく分けて

 

サービス面と調理面の二つがあると思います。

 

フィリピンで感じたのは

 

サービス面は多少のアレンジと人海戦術でなんとかなっていますが

 

調理面ではなんとかなっていない様に感じました。

 

調理は精確さと技術が必要であり、

 

マニュアル(レシピ)に沿わず大雑把に作業をし

 

しかも望む技術がなければ

 

本来のものが作れるわけがないのは至極当然です。

 

 

 

 

 

 

 

話変わってカレー屋ですが、
 

今年になって古参のスタッフの退職もあり

 

私が常時キッチンで調理をしています。

 

するとやはり、かどうかは分かりませんが

 

売上が以前に比べて格段によくなりました。

 

実際のお客さんの反応で一番多いのが

 

「前は質(味)にバラつきがあったけど、今はいつも一緒。」

 

ということです。

 

ま、それはわかっていましたし、そこが最大の難点でした。

 

当初からカレー自体は私しか作っていませんし

 

スタッフは出来ているそれを温めたりの最終調理だけなので

 

私的にはカレー屋のオペレーション(マニュアル)が

 

そんなに難しいとは思っていませんでした。

 

なので「何故グアムでは成り立たないんだろう?」

 

っと自問自答の繰り返しでした。

 

それは結局今までの経験である日本とアメリカをベースに考えていただけで

 

場所や人が変われば難しいと感じるレベルは異なり、

 

出来るものは出来るし、出来ないものは出来ないし。

 

大企業がやっても、個人がやっても

 

やっぱ無理なものは無理なんだな、

 

っと今回のフィリピン視察でかんじました。 

 

 

 

 

 

 

私がいなくても大丈夫なキッチンオペレーションを目指して

 

従業員の指導をしてきましたが

 

オープンから6年、

 

その点で諦めがつきました。

 

人件費の高いグアムでは人海戦術も出来ませんしね。