NLPでアンカーリングと呼ばれるとても優秀なテクニックがあるので、紹介いたします。
アンカー(anchor)とは船の錨(いかり)のことで、英語の動詞としては「定着させる、固定する」という意味になります。
アンカーリングとは、自分の経験した好ましい状態を自分が呼び出したいときにいつでも呼び出せるようにするテクニックです。
心理学の分野ではパブロフの犬という実験が有名ですが、あれはベルとか鐘とかの音がしてすぐ犬に食事を与えるということを続けると、その音がするだけで食事を与えなくても犬は唾液を分泌するようになるというものでした。
こういう現象は誰でも経験しています。たとえばラジオ体操の曲を聞けば、体が自然に反応したり子どもの頃の記憶が蘇ったります。
このようにある情動体験(強い感情の伴う体験)と何かの記憶、パブロフの犬であれば食事とベルの音が結びつくこと、を心理学の用語では「連合」といいます。
この連合は好ましくない体験にも起こります。たとえば飛行機でひどい酔いを経験したとすると、飛行機を見ただけで気分が悪くなるかもしれません。
この連合のメカニズムを意識的に利用するのがNLPのアンカーリングです。
たとえば、自分がどこかの山に登ったことが、とてもリフレッシュしてくれる爽快な体験だったとします。そしてその爽快な気分がやる気を引き出してくれたり、ストレスを軽減してくれる感覚があるとします。
そこでできるだけ五感をつかって、その山登りの体験をありありと思い出します。どんな風景であったか、どんな音が聞こえていたか、どんな温度だったか、どんな匂いがしたかなどのその時の感覚体験をできるだけありありと具体的に思い浮かべます。
そして思い浮かべながら、決めておいたなんらかのシグナルやキュー、たとえば指先で自分の膝に軽く触れる、を自分に対して出します。
何度かこれを繰り返すと、膝に指で触れるキューを自分に出すだけで自然に山登りの体験が蘇って来るようになります。
このようにあるキューを決めて自分で意識的に連合を作り出すことをがアンカーリングです。
こういう特殊な用語を使わなくても、われわれは普段何気なくアンカーリングをやっています。
たとえば、これから何か大切なことをやらねばならないときに、自分の恋人の写真とか尊敬する人の写真を見てやる気を出したり落ち着いたりするとか、何かへこむようなことがあったときに自分が昔大きな慰めを得た本を読み返すというのは自然にアンカーリングをやっていることになります。
ただアンカーリングというようにコンセプトをはっきりさせておくと、より意識的につかうことができるのです。
NLPではこのアンカーリングを徹底的につかっていて、やる気を引き出したり恐怖症を治すことから始まって、ありとあらゆる応用テクニックがあります。
でもシンプルな使い方を知りだけでも十分役立つと思います。
前回も述べましたが、NLPの骨子はイメージをどう使うか、つまり思考の使い方の技術だと考えています。
そして何を思考するかによって、実際にそれに応じた神経伝達が脳内で分泌されることが大きなポイントだと思うのです。
たとえば自分がリラックスした体験をありありと思い出すと、実際にエンドルフィンが出ますし、苦痛な体験を思い出すとPという神経伝達物質が出ます。
また誰でも経験していると思いますが、エッチなことを考えただけで快感を生み出すドーパミンが脳内で放出され、男女それぞれに応じた身体反応が生じます。
ですから思考やイメージというのは強力な力があるのです。それを自分のために使う有効なツールの一つがアンカーリングなのです。