今回は「採用時になすべきこと」についてです。
新たにスタッフを採用する場合、問題となるのは、実際に働いてみた時に人間関係も
含めて、しっかりした働きをしてくれるかどうか?という事ですよね。
それを見極めるために面接をしますが、どんなに面接に時間をかけたとしても、最終的
には、一緒に働いてもらわなければそれはわかりません。
そして、採用後、多かれ少なかれ、働いてもらう中で徐々に問題が発生していきます。
仕事がおおざっぱ過ぎたり、歯科医師の指示に従わなかったり、スタッフとの相性が
合わなかったり、様々な問題が考えられますが、このような時にどうしたら良いのでしょう?
従業員を一度採用してしまうと事業者側は立場が弱くなります。
むやみやたらには解雇をすることができません。
しっかりとした対応をしないと不当解雇として訴えられる可能性さえあります。
いざという時にそうならないために、次のような準備をすると良いでしょう。
①就業規則を作る
②業務規則を作る
③試用期間が明記された雇用契約書を作る
(試用期間は一般的に1~6か月と言われています。)
この3点です。
①就業規則は、職場のルールで必ず記載しなければいけないものと、そうでないものがあ
り、法令に反する内容は記載できません。
記載するのは例えば、就業の開始時間や、賃金の計算方法、退職に関する事項などです。
本来従業員が10人以下の事業所には作成義務はありませんが、作っておいたほうが良い
です。
②業務規則
これは日々の業務上の細かなルールを定めたもので、就業規則に載せるほどでもないが、
業務を円滑に進めるために、医院での決め事を書面にまとめたものと考えると良いでしょう。
例えば、タイムカードの取り扱い、朝の準備、診療終了後の作業、月末にやらなければいけ
ない作業についてなどです。
もちろん就業規則や法令に違反してはいけないのは当然です。
③試用期間が明記された雇用契約書は、雇用契約書に「試用期間 採用から3か月」など
明確に記載された契約書です。
これらを作成するとどんなメリットがあるのでしょうか?
雇用契約締結後の解雇には、労働法16条より「客観的な合理的理由」と「社会通念上相当
と認められること」が必要とされています。
これが満たされない場合は権利の乱用として、解雇が無効になると定められています。
なんだかわかりにくいですが、ようするに、簡単には解雇できませんよ。ということです。
裁判例では解雇する場合、雇用した従業員が、仕事を効率的に進められなかったり、歯科
医師の指示に従わないなどの事由だけでは解雇理由としては十分でなく、これらの事項に
ついて、どのようなアプローチをして改善を促し、教育をしたのかという事業者側の努力が
必要とされています。
この事業者側の努力が正当な解雇か不当解雇かを分けるポイントになります。
事業者側が教育を行ったが、やはり一向に改善が見られなかったような場合に、初めて解雇
が認められることとなります。
この際、試用期間が設定されていると、通常の解雇よりも比較的これらの条件が緩和される
ようです。
試用期間が定められていても、雇用契約は成立していますので、解雇する場合には30日前
の予告、または30日分の賃金を支払わなければいけません。
では、事業者側のアプローチはどうやって証明すればよいのでしょう?
その方法は、「ノートに記録を残す。」です。
記録内容は、日付、起こした問題、それに対してどのような教育をしたか?
これをできるだけ具体的に書き留めていきます。
要するに、これだけ努力はしましたよ。というアピールをするための資料です。
そして①就業規則②業務規則があり、しっかり本人に渡していれば、就業規則違反、業務
規則違反があった事を明確に指摘することができます。
これを渡していないと、知らないと言われたときに反論できません。
採用時に少しでも心配がある場合は、雇用当初から教育日記などとして、できるだけ詳細
な記録をつけることをお勧めします。
解雇する際には、その記録をもとに本人に説明し、改善が見られなかったことを示したうえ
で、解雇予告通知を出し、期日に解雇すれば不当解雇になることはありません。
もし訴えられたとしても、やるべきことをやっていれば、心配ありません。
正々堂々と話し合いを進め、煩わしければ弁護先生にお願いするのも一つです。
ただやはり、準備をしておかなければ、いくら正当な理由があったと主張しても
それを証明できませんので、しっかりした証拠資料を整えることが大切です。
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