先日のNHKBS「名曲探偵アマデウス」は、
シューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」を取り上げていました。
その第2楽章、葬送行進曲のような、ほとんど動かないメロディと、リズムで始まります。
この曲を作曲したとき、シューベルトは、当時不治の病とされていた梅毒にかかり、
死と向き合っていたようです。
14小節目に現れる「属九」の和音。
これは、不安や苦悩を表わす和音として、普通は強く演奏されます。
そこをシューベルトは、弱奏を指示しているのです。
ベートーベンならば、運命と戦い、打ち負かそうとするのでしょうが、
シューベルトは、「悲しみを乗り越えるのでなく、受け入れようとした」のです。
その「属九」の和音から、少し明るい光が差すような転調を示します。
その後、変奏部から、音楽が劇的に展開し始めます。
これは、「新しい生命を生きる」すなわち、
「未来に向かって生きる」シューベルトの思いを表わしているようです。
「死んでいこうといる曲」ではなく、「死を受け入れて、生きていこうとする曲」です。
「絶望と向き合ってこそ、生きる歓びが生まれる」ことを教えてくれています。
私自身、最近生きていくことが苦しく、絶望を感じることもあります。
でも、ベートーベンではなく、シューベルトによって救われたような気がします。
それにしても、音楽鑑賞って、こういったことを理解して聴くのと、知らずに聴くのでは、ぜんぜん違うのですね。
私は、この歳がきて、まだまだ知らないことがいっぱいあります。
「名曲探偵アマデウス」 勉強になる番組ですよ。
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