先日亡くなった心理学者の河合隼雄さんが、教師の必読書として次の3つの童話を挙げていました。
ヘルトリング著「ヒルベルという子がいた」
ミヒャエル・エンデ著「モモ」
ケストナー著「飛ぶ教室」
病室での暇にまかせて読破しました。
「ヒルベル」は、おそらく知的障害児です。歌がとっても上手でした。でも、伴奏に合わせることができません。音楽教師は、伴奏に合わさせることをあきらめ、ついに無伴奏で賛美歌を立派に歌い上げます。
以下、著者あとがきより引用です。
(ヒルベルは)おそらく、二種類の病気だったんだろうな。ひとつは、医者の診断がつく病気だ。(中略)
そして、もうひとつは、医者ではなおせない病気だ。つまりね、ヒルベルには、ほんきで心配してくれる人が、誰もいなかった。さして、ほとんど施設や病院ばかりでばかり、くらさなければならなかった。いっしょに遊んでくれる子どもは、ひとりもいなかったし、信用してくれる人もいなかった。だから、ヒルベルは病気だったんだよ。
僕は、この病気のほうが問題だと思っている。(以下略)
「モモ」は、副題にあるとおり、「時間どろぼうと、盗まれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子の不思議な物語」です。
時間や効率ばかりを優先させて、大事な人間性を失っている現代人に対して、30年以上も前に鋭い警鐘を鳴らしています。
私の病室からは、目の前に高架を走る汽車が見えます。人々の時間をつめこんで、今も東へ西へと走っていきます。そのむこうには雄大な眉山がどっしりと立っています。
病院での有り余る時間を有効活用しようと、CD版源氏物語を聞き、足踏み運動器に乗り、本を読み、ビデオで体操をし、パソコンに向かって仕事をする私。
「そんなことしてるから、病気になるんだよ。」 モモの声が聞こえてきそうですね。