私は今まで、普通高校を6校経験してきましたが、教員生活で一番いやなのが、全校生徒に対する校歌指導でした。

そもそも、よりよい歌唱指導のためには、「生徒の心情に合った選曲」「生徒の気持ちを乗せて、歌いたい気持ちにさせる」「リズム感のあるノリの良い曲から始める」「音域が適切である」「のどや気持ちをリラックスさせ、十分ウォームアップした上で歌う」「並び方を工夫し、心理的にも歌いやすい環境を作る」などが絶対必要条件です。


ところが、校歌を歌う場面というのは、これらのすべての条件逆行しています。

だからといって、ちゃんと歌わない生徒に対して声を荒げても、逆効果です。

さらには管理職から、「式典で校歌がちゃんと歌えないのは、音楽教師の責任だ」と思われそうで嫌でした。

また、宗教上の自由の問題から、校歌を歌わない生徒もいます。


ですから、私はいつも校歌指導の日はうつになりました。



音楽科の年間指導計画で、よく4月の始めに校歌を教えることになっている例を見かけます。

私は反対です。


生徒の心情に合わない歌詞、ノリの悪いリズム、歌いにくい音域、しかも4月のはじめはまだ学級の連帯意識もできていない、こんな最悪の環境で音楽の授業が始められると、音楽嫌いを生んでしまいます。


私は4月最初の授業は、既習曲で、明るく楽しい曲から始め、まず全員が大きな声を出せる充実感を味わわせます。校歌に入るのは2時間目からです。



今の養護学校に転勤してきて驚きました。

明るく楽しい、歌いやすい校歌なのです。

「明るい 明るい 明るい笑顔 みんなの 歌声 ひとつのこだま 僕も私も 心が弾み 楽しく学ぶ」

生徒達は大声で歌っています。なんて素晴らしい校歌なんだろう。


私の校歌感が変わってしまいました。


この校歌を作曲したI先生、あなたは世界最高の作曲家です。