最近出た本から


「子どもの世界を読みとく音楽療法

 特別支援教育の発達的視点を踏まえて」

    加藤博之著   明治図書  2400円


私は今までたくさんの音楽療法関係の本を読んできましたが、この本が一番自分にしっくりはまったという感じです。

音楽療法については、実にいろいろな考え方があり、様々な方法論で、たくさんの本が出ています。

でも、自分の実践にちょうどいいヒントを与えてくれるようなものは、あまりありませんでした。


私なりに、この本がいいなと思った点をあげてみます。


1.発達の視点に基づいて、それぞれのレベルでの効果的な音楽の用い方が書かれている。

 

 運動発達、認知発達、コミュニケーションの発達、社会性の発達の具体的レベルを示し、そのレベルの音楽活動例が挙げられています。

 たとえば、

   「3,4歳児の対人関係の発達」では、

     3歳前半…自己主張の出現、子ども同士の親密化

     3歳後半…ストーリーに添ったごっこ遊び、自分でやりたいという主張

       以下略

   このレベルの音楽活動例

     「はないちもんめ」「おちゃらかほい」「あくしゅでこんにちわ」

     リズム運動、子ども同士によるゲーム

 など、発達段階を細かく分けて、具体的な音楽活動を示しています。


 今まで私は、ただやみくもに教材を考えていました。でも、その子の発達段階に応じた音楽の与え方が具体的に示されていることは、大きな戦力を得た気持ちです。理論的な裏付けをきちんと知った上で教材を考えることができます。


2.アセスメント票、評価表がついている。 


 上記1の発達段階を見極めるためには、アセスメントが必要です。

 私は今まで、いろいろな文献等から音楽的アセスメント例や評価表を探してきましたが、 なかなか自分の生徒たち(高等部)向けの物が見つかりませんでした。自分なりに作ろうとしているところです。この本も非常に参考になります。


3,特別支援教育の現場に即している。


 養護学校 (この4月から特別支援学校という名前に変わりました) の現場実践に基づいているので、私たちの実感としてとらえることができます。具体的なエピソードなども随所にちりばめられて、読みやすいです。


4.CDがついている。


 実際の指導場面の、動画が見られます。文章だけではわかりにくい実践現場が動画で見られるのは、大きな特典です。


5.音楽活動が、身体や脳の発達にいかに必要なものであるかが、よく書かれている。


 上記1とも関連しますが、これによって私たちは、「なぜこの子にこの音楽を使うのか」を、

 きちんとした理論に基づいて、自信を持って実践していくことができます。