戯論を止めよ
マールクシヤという釈迦のお弟子があるとき、次のような質問をしました。
「この世は永遠に続くものでしょうか、それとも今にすっかり変わってしまうものでしょうか教えてください。」
「こういうことがわからなければ修行をやめようかと思います。」と。
すると釈迦は、このお弟子に次のように仰せられました。
若し人が、毒矢をもって射られたとせよ。まわりの人が、急いで医者を迎えて、その矢を抜き取るようにする。
ところがその時、その矢を抜くのはちょっと待ってくれ、一体この矢は何処から来たのか、この矢は誰が射たのか、矢先はどのような形をしているかと。
そういうことがすべてわかるまでは抜くのは待って貰いたいというならば、彼はそれらのことを知る事ができないうちに死んでしまうであろう。
戯れの論をして居るよりも先に、まず毒矢を抜取る事が大切なのである。
前世がどうであったか、死後はどうあるかを知り尽くす事よりも、今おんみ達の身に迫っている恐ろしい毒矢を抜取る事こそ大切なのである。
私の教える修行はそのための修行なのである。戯れごとではないと仰せられた。
仏の教えです。
今の問題に向き合わず、過去や未来に囚われていると、苦しみのまま死んでしまうということです。