古代インドの考えでは、人間の一生は4つの時期に分けられ、50歳からは「林住期」に入る。という話を聞いて林住期についてググったとき、真っ先に出てきたのが五木寛之氏のエッセイ、『林住期』だった。
冒頭にこんなことが書いてある。
「「林住期」とは、社会人としての務めを終えたあと、
すべての人が迎える、もっとも輝かしい
「第三の人生」のことである。」
第1期は学生期、第2期は「家住期」、最後の第4期は「遊行期」。学業にはげみ、家庭を築き社会のために貢献するために生きる第2期までを終えて、50歳から75歳までの林住期は、社会的義務や家族から離れて修業や瞑想に励む時期。
50歳からは、生活のために働くのではなく、真にやりたいことをする。必要かどうかではなく、学びたいことを学ぶ。そういう時期だと。
まあ、そうしたいですよね。お金さえあればね。五木さんくらい(知りませんが)。
で終わりそうなところだが、これが結構おもしろかった。
お医者さんが、人間の体の耐用期限は50年、と言ってる話が載っていた。50歳越えたら耐用期限過ぎてるから、あちこちガタがきて当然。それを一生懸命メンテナンスして、倍に引き延ばそうとけなげな努力をしているのが、わたしたちだ。
わたしはすでに、余生なのだ。
ここまで元気に来られて、ありがたいことだ。この先は当然のこととして、体のどこがいつ終わってもおかしくない。
同じようなことは、これまで何度も頭をよぎった。
だけども、この本を読んでいたら、妙に晴れ晴れとした気持ちになってしまった。
本当にやりたいことをやるとか、自分らしく生きるとか言っても、イメージするのは家住期の生き方とその延長線上の老後だった。何かを為さねばとか、豊かさを手に入れなくてはとか、豊かでなければ自由は手に入らないとか、そんなことを思ってた。
それがどうでもいいとは思わないが、そこからも自由でいい。
言葉にすると、これまでと同じ「本当にやりたいことをやる」「自分らしく生きる」になってしまうのだが、その中身が、前よりも自由な発想になれたかな。