睡眠の妨げになる小説。


ボスニア紛争のさなかにアメリカ人の青年が無残に殺されたところから、物語が始まる。
「アヴェンジャー」は「報復者」の意味で、個人的な報復ではなく、犯罪など社会的な悪に対して「天に代わって討つ」みたいな言葉だそうです。金でそれを請け負う男、それが主人公のアヴェンジャー。
ちなみに映画『アベンジャーズ』とはまったく別者でございます。

 

 

アメリカ、イギリス、ボスニア、中米、中東、アジアと世界を股にかける展開や、史実と巧みに絡んだストーリー、時間が交錯して大量にはられた伏線とその回収、、、最後の一行までおもしろい。

本には「戦争に彩られた半世紀を描ききった、軍事スリラーの傑作!」とあります。スリリングです。




作者は『ジャッカルの日』『戦争の犬たち』『オデッサ・ファイル』など大ヒット作を多数もつ、フレデリック・フォーサイス。

これまでは先入観でつまらなそうに思って、読んでませんでしたが、彼の自伝『アウトサイダー 陰謀の中の人生』

を読んでがぜん興味が湧いて手に取った。そしてまんまとはまった。

ジャーナリストとして世界中の紛争と陰謀をわたりあるく、それ自体もおもしろいけど、やはり彼自身の生き方が強烈なのだ。


この経験と緻密な調査が小説のおもしろさのカギではあるが、ぐいぐい読ませる文章力は、記者としての文章力ときっと違うでしょうから、いくつもの才能に恵まれたものだ。

そんなわけで、図書館でフォーサイズを借りまくっております。