昨夜は東京文化会館で、ソプラノ歌手アスミク・グリゴリアンのコンサートでした。
少し重めの、深く豊かでな歌声、繊細な表現がとても好きなオペラ歌手です。



席はS席!
実はこれ、抽選でS席半額というキャンペーンに当選したのです。東京文化会館はだだっ広くて、出せる範囲の金額だと、遠すぎるので買うのを迷っていました。そしたら見つけたこのキャンペーン。まさかの当選でラッキーでした。



1曲目はチャイコフスキーのルサルカから、「月に寄せる歌」。
水の精のルサルカが、人間の男性への恋心を切々と歌うこの曲。アスミクさんの声はわりと重く強靭で、わたしのルサルカのイメージとは違うのですが、ものすごく繊細に歌い上げて、震えるほど感動してしまいました。
実はいまレッスンで習っている曲なので、より聴き入ってしまった。こんなふうに歌える曲なのね。

今回の来日では、AプロとBプロの2ステージあり、前半はどちらも同じ、スラブ系の曲が並びます。

 

 

(前半のラストはこの曲↑ 両親のルーツであるアルメニアの歌劇『アヌッシュ』から、「かつて柳の木があった」)

 

後半は、Aプロはオール・プッチーニ。わたしが行ったBプロは、リヒャルト・シュトラウスの『エレクトラ』と『サロメ』。

重量級の曲が並んだ、といっていいのでしょうか。
オーケストラの大音量を突き抜ける響きは、しなやかで強靭。決して金切り声で叫ぶという感じではなく、本当にしなやかに鳴るのです。すごい。すごい。
息を自在に操って、1音残らず神経が行き渡り、こんなことができるんだなあと圧倒されまくりです。

(彼女を一躍有名にした、リヒャルト・シュトラウスの歌劇『サロメ』)

彼女の姿がまた素敵だった。
衣装は黒いストンとしたロングドレス。遠目なので言い切れませんが、ドレスは無地で装飾はなく、ジュエリーなどもいっさいなし。
深いスリットからのぞくハイヒールを履いた長い脚と、ぴっちりひっつめた豊かな黒髪、優雅で堂々とした立ち姿が装飾、といったところでしょうか。前後半で衣装チェンジもなし。

なんの装飾もいらない、という自負なのか、歌そのもので勝負するストイックさなのかわかりませんが、さながら黒真珠のように光を放っていました。

 


オーケストラは東京フィルでしたが、女性の奏者が圧倒的に多くてちょっと驚き。バイオリンやヴィオラは大半が女性だったのではないか。全体でも男性比率の方が高いのはコントラバスと金管くらいに見えた。どうやって選んだのだろう。
ちょっと弱々しい指揮者は、カレン・ドゥルガリャンというアルメニア生まれの男性。アスミクさんの両親はアルメニア系なので、そのつながりはありますが、なぜ彼だったのだろう。

それはそれとして、アスミク・グリゴリアンの歌は素晴らしかった。