写真作品はどれであれ「記憶」であり、見るのは「時間旅行」である。
と斜に構えたことを言いたくはなるが、魅かれるワードでもある。
恵比寿の東京都写真美術館で開催されていた、3つの展示会を観てきた。
 

 TOPコレクション 時間旅行
千二百箇月の過去とかんずる方角から

 

 
ちょうど100年前の1924年に撮影された作品群のコーナーから始まり、「1924年–大正13年」「昭和モダン街」「かつて、ここで」「20世紀の旅」「時空の旅」の5つのセクションからなる。


 
写真雑誌のアサヒグラフやLIFEなんかの表紙もあったり、ポスターがあったり、美術館のある恵比寿ガーデンプレイスのかつての姿(ビール工場)があったり。

人びとの素朴な輝きの後に戦争がやってきて、それを生き延びた人びとの命の輝きがまたやってくる。

 
古い写真を見るといつも思うのだけど、知りもしない時代の知りもしない街や人を見て、懐かしさに胸がしめつけられる思いがこみあげるのは、なぜだろう。

 

 

 記憶:リメンブランス
―現代写真・映像の表現から



 

こちらはぐっと、コンセプチュアルな作品群。
へえ~おもしろいこと考えるなあ、と思いながら見る。説明を読まないとコンセプトがわからないけど、なにかコンセプトがありそうだな、とは感じさせる。ドラマのオープニングの何気ない日常のシーンで、バックにちょっと不穏な音楽が流れてる、みたいな感じで。


 

米田知子さんの作品はこちらが主ですが、「時間旅行」の方にもありましたね。好きな作家で、写真集も大事に持っている。なにも知らずに見ても、惹かれる作品。

説明を読む前と後とでは、まったく違った風景が見えてくる。でもその事実とは関係なく、なにか感情を呼び起こさせる写真なのだ。

 

 

 

 没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる

 

前は写真集を持ってたのだけど、いつのまにかなくなってる……。


スナップショットで写した古き沖縄、東京、秋田、中国、パリ、etc...
歌舞伎や演劇の舞台写真もかっこよかった。

残念だったのは、3つの展示会の最後にまわったので、足がくったくたで、駆け足になってしまったこと。どの1枚も引きこまれる。もっとじっくり味わいたかった。
この展示は撮影NG。

写真、よかった。