ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの、19世紀から20世紀初頭の絵画を集めた展覧会。
北欧の絵画にフォーカスした本格的な展覧会は本邦初、とのこと。
意外なようで、たしかに出品作で知ってる名前はムンクだけ、これまでほとんど触れてこなかったことを知りました。

展示は「神秘の源泉」「自然の力」「魔力の宿る森―北欧美術における英雄と妖精」「都市―現実世界を描く」の4部構成。

 
(ムンクの作品。写真ではぜんぜん伝わりませんが、薄紫が印象的な、迫力のある作品でした)
 
 
タイトル通り、神秘的で、魅力的でした。
北欧神話や民話を題材にした作品が多かったことと、気候がとても厳しいというのもあるでしょうか。

シンと冷たい空気、音が吸い込まれていきそうな高い空は、そのまんま神話の世界のようです。
 
(住居なのかわかりませんが、こんなところに住んでるの?!と驚く絵がたくさんあった)
 
解説によると、北欧の美術界は長くイタリアやドイツ、フランスに追従していて、それが19世紀のナショナリズムの高まりとともに、独自の芸術を追求するようになった、と。
 
「独自の芸術」が何を指すのか、技術的には大陸から学んだ手法を使って、題材や視点を内側に持ってきた、ということでしょうか。それ以前の絵画がどんなふうだったのか、気になってきました。
 
 
(なまめかしく荒々しい水の精。妖精は草木や岩に体をあずけて痛くないのだろうか)
 

絵画に合わせた音の演出もありました。
それもよかったけど、ああいう演出がなくても、絵画から音が聴こえてくるくらい没入できたら楽しいかも。
 
 
(結構救いのなさそうな物語の一場面)
 
 
美しい妖精にも惹かれますが、不気味な見た目のちょっと怖い、トロールという妖精にとりわけ惹かれます。
巨大で醜く毛深い、性悪の巨人で、海や山でなにか悪いことが起きると「トロールがやったんだ」とささやかれる存在。
トロルが描かれた作品は撮影NGでしたので、ぜひ会場で。

北欧の神秘は、どれもどことなく怖い、安易に近づけないような雰囲気があり、そこがまた魅力。

北欧の映画『ボーダー 二つの世界』(2018年)がわたし好きなのですが、作品に漂うちょっと不気味で不穏で神秘的な空気感と通じるなあと思って見てました。
 
 
(かわいいエレベーター)
 
展示は70作品。もうちょっと観たい、もっと浸っていたい、と思わせるところでおわってしまった。
絵画のモチーフになっていた神話や民話も、ストーリー全体が気になる。
ノルウェーには北欧最大の美術館、オスロ国立美術館がありますね…。
がぜん北欧に行きたくなってしまいました。