新世界通り、クラクフ郊外通りをゆっくり30分ほど歩いただろうか、世界遺産に認定されたワルシャワの旧市街に到着した。トラムでも行けます。
右手の赤い建物は旧王宮。手前の高い台に立つ碑は、15世紀にワルシャワに遷都を果たしたジグムント3世の像。
一見古い歴史的な街並みだが、どこかテーマパークのようでもある。
それもそのはずで、ここは第二次世界大戦の後に再現された街だという。
ナチスドイツによる侵略は悲惨なものだったが、ことに1944年、市民が一斉に立ち上がって起こした「ワルシャワ蜂起」で、20万人の犠牲者を出して全滅、最後の砦となった旧市街も、徹底的に破壊された。
戦後、市民が「レンガの割れ目ひとつに至るまで」忠実に再建した。
街が古いことに価値があるのではなく、市民の「不屈の熱意」の価値により、世界遺産に登録されたということです。
そう知ると、これほど重みを感じさせる街もない。
いまは、朝からアイスクリームを頬張りながら観光する人が行きかう、のどかな雰囲気です。
そのなかを列を組んだ子どもたちや、観光グループが、解説を受けながら歩いている。この歴史を学んでいるのだろうと思う。
考えてみれば、わたしは、敵国ドイツと同盟を組んだ国の人間だ。他人事として眺めていていいのかどうか。
広場から1本小径を入ると、人があんまりいません。凝った壁面の建物が多くて、これも往時を細かく再現したのでしょうか。
由緒ある聖ヨハネ大聖堂。もちろん再建です。
ここに眠る歴代の王のひとりは、スタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキ。ロシアの女帝、エカテリーナ2世の愛人として、池田理代子のまんが『女帝エカテリーナ』で描かれたその人です。本当にいたんだな。
毎日正午に教会で開かれるオルガンコンサート。オルガニスト本人がチラシを配って客引きをしていたのが、いかにも世俗的な姿でおもしろいので、聴くことにした。パイプオルガンで聴くショパンのプレリュードも、違和感ない。感動的な演奏でもないが、そこがまた、往時の日常を彷彿とさせて、またいい。
誰もいない観光スポット。
写真はこれくらいですが、ぐるぐると歩き回った。
たくさん歩いてお腹が空いた。
明日はお食事編。この物価高騰と円安の時代の強い味方をご紹介しましょう。