回路開放!【第2回】キスまでの距離 | くりえいたぁず通信

回路開放!【第2回】キスまでの距離

PN:時任可成
音は躍動する大気の姿である。文字にのせた言葉に、その世界の音を感じられたなら、想いはあなたに伝わりますか? 文字で綴られた調べを、聞くように読める小説を目指しています。


☆放課後の教室で「キス」をめぐり繰り広げられる、青春ラブストーリー!☆


「キスまでの距離」

 夕焼けに染まる教室、静かに響く寝息。窓際の机に伏して、眠っているのは私だ。
 カタン……。
「……ん?」
 物音で人の気配に気付き、私は一気に目を開けた。
「なっ……、バカ健治!」
 私は目の前にあった、健治の顔をひっぱたいた。
「いってーなっ!」
 健治は床に転がって頬をさすっていた。
「今、キスしようとしたでしょ!」
「いいじゃねぇか! 誰も見てないんだし、一応付き合ってんのよ、お前と俺は? 一回位キスしたって……」
「だからって……眠っている時になんて、信じられないよ」
 そうだよ、信じられないよ……健治のバカ。
「だいたいさ、眠り姫ってのは、王子様のキスで目を覚ますもんなんだろ? それにお前は、毎日こんな時間まで、俺のことを待ってんだろ? いいじゃんキスしたって」
 それは……確かにそうなんだけどさ。
「ねぇ健治、王子様って健治のこと?」
「だっ……だったらどうだってんだよ!」
 健治の顔は、夕焼けにも負けない程真っ赤になった。
 そんな健治に、私は笑顔を見せた。
「いいよ、キスしても」
「本当か!?」
「うん、今度は起きている時にね!」


-了-




※ 作品の著作権は時任可成様にあります。

  コピー転載不可


サネチカ
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