先輩が借りてから数年が経ち、結局、企画が流れたので、異動した先輩に変わって、僕がお詫びとご返却をするために、北海道まで行くことになりました。
電話で概要をお伝えし、空港までお迎えにきてていただくことに。「ついでに泊まっていけ」といわれ、お言葉に甘えることに。
「どんな旅になるかなー」
つい楽しい方にばかり想像が働いていました。
しかし事件はいきなり勃発しました。
お会いしていきなり写真家は、険しい顔で第一声。
「お前のところの出版社は、どうなってるんだ!」
聞けば、同じジャンルを撮影している写真家のカレンダーが空港内で売られていて、それがうちの出版社から刊行されていることを知ったらしいのです。おまけにパネル展示も。そういえば、つい最近、某著名写真家のカレンダーが打ち切られたばかりでした……。
著名写真家の方は、たくさんの作品集をうちの出版社から出されていて、そのことに恩義も感じていたというのに、これではまるで裏切られたように感じたのでしょう。
おまけに、返却のつもりでお持ちした写真が4枚足りないことが発覚。借用書を先輩が紛失しており、正確な枚数がわからないがために起こった一件だったのですが、このときばかりは肝を冷やしました。
急遽会社に電話して、一緒に返却作業を手伝ってもらった部下にお願いして捜索してもらったところ、その日の夜にはちょうど4枚出てきて、とりあえずホット胸を撫で下ろしたのですが、話はこれで終わりませんでした。
その某著名写真家とは一度お話ししたことはあったのですが、きっちり写真を見せていただいたこともなかったので、今回はその目的もありました。
どれだけ写真を撮っているか、どう撮っているか、何を伝えたいのか。そして、どんな想いでいるのか。
作品から読み取りながら、ひたすら話を聞きます。そして、ご本人の人生についての話もぽろぽろ引き出しつつ聞きます。そうしないと、最初の読者たる編集者は写真家を理解することもできなければ、作品をまとめることもできないからです。
そうやって、朝の4時まで写真談義、人生談義が続いたのです。
次の日も9時起きで、昼の飛行機が出るまで、ひたすら話をお聞きしていました。
結局、僕に良く分かったことは、その作品性が非常に高いこと、未発表作品が豊富にあって、いくつも企画を立てられること。と当時に、怒らせてしまった写真家とは信頼関係が壊れたため、二度と仕事ができないとはっきり告げられたことです。
なんだか惨憺たる旅になってしまった気もします。
でも、同時にたくさんのことを学びました。
築き上げた信頼を壊すのはほんの一瞬の出来事なんだということ。
芸術家の探究心。
シャッターチャンスとはシンクロにシティーそのものだという事。
出版の世界でも古い世界が瓦解し、新しい世界が立ち上がろうとしている事。
そして、たぶん間違いなくその世界の一角を僕自身が担っていくであろう事。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
実は、ここのところ本田健のお金の通信コース「幸せな小金持ちコース」をiPhoneに入れ、くり返し聞いています。一度では気づかない事、わからない事だらけなので、何度もくり返しているのですが、その度に発見があります。
そのなかで「人生の目的」という言葉があり、その解説や5つの指針、自分らしい人生を生きる5つの知恵などの内容が紹介されています。たまたま旅の道連れにしていた本のタイトルが「人生の意味
大学を出てから写真一筋で生きてきた写真家の生き様を、今回の旅ではまざまざと見せられました。そして、自分らしく生きる事の幸せと、お金や信頼について、期せずして深く学ぶ機会となりました。
だから今回の「事件」も、僕がさらに自由で、真の無限の豊かさとつながる過程で得た、とても大切な「シンクロ」のひとつのであり、このタイミングで「学びなさい」という天からの啓示なのでしょう。
そんな気がしています。