俺は言ったんだよ。「今日は風が強いけど波は大丈夫なのか?」・・と。
すると船長は「あ~大丈夫ですよ!今日は波そんなでてないから」という。
じゃあ・・ということで乗り込んだ釣り船。しかも社長と。
少し風はあるものの、暖かくて、むしろ気持ちいいくらいだ。
船は走り出したが、なぜかいつもと違うコースを行く。
というか湾内の安全な場所だけちょいちょい回ってる感じだ。
まるで何かを避けているかのように。
シーバスを狙っていたが、そんな近場では釣れるわけもない。
俺たちのつまらなさを船長が感じとってしまったのか、それがいけなかった。
「一気に魚いるところまで走ります!」
湾外に出た途端、とんでもない大波がうねっている・・
こんな小さい船でムリっしょ!とみんなが思ったのだが船長の目は
復讐ともとれる異様な輝きを放っている・・!
一度波をこえる度に大量の潮水をしたたかに浴びる。
雨はふっていないが、この小さな船の上だけは、暴風雨かそれ以上だ。
さっきまでの暖かさがウソのように寒い。当然だ。全身ズブ濡れのうえ
猛スピードで走っているから抜ける風がどんどん体温を奪う。
死にそうに寒い。フードをかぶり下を向いてじっとやりすごすしかない。
30分くらい走っただろうか。みんなもさぞ寒がっているだろうな・・と前に
座っている社長にそっと目をやってみると・・
気配を感じたのか社長もこちらを向き、おもむろに手をうごかした・・
かじかむ指を交差させてだしたサインは×だ。
ん・・??これはなんのバッテンなんだ?
口元もかすかに動いている。
「・・・だめだ・・上がろう・・」
でました!?まだ1時間くらいしかたってないのに?
6時間のコースなんだが。
でも確かにパンツまでグッチョリで釣りどころではないような気もする。
なんでこの船長はこんな強硬策にでたんだろう。
ちっとは空気読めや!防水服着てないって見りゃわかるだろーよ。
地獄を乗り越えただけあってそのポイントで大物が釣れたが
帰りに水没したポケットから電源の入らない俺のケータイが発見された。
電話帳・データ全消え。
船長、とりあえずお金請求していいですか?
メバル28センチ!プロでもなかなか釣れないぜ~