「アジア最大の流血紛争」と言われるフィリピン・ミンダナオのカトリック・イスラム間の宗教紛争をご存知だろうか。40年以上続いた紛争で12万人以上の住民が犠牲となった。フィリピン大統領をはじめ多くの政治家が紛争解決の為に何度も訪れたが、平和調停はいつも失敗に終わり、長きに渡る紛争は、教育の機会と家族とを奪っていった。

2013年9月フィリピンのアントニオ(カトリック)大司教は平和活動を行う中で、「天の文化世界平和光復(HWPL)」のイ・マンヒ代表と出会い、紛争終結の為にミンダナオを訪れて欲しいと要請した。イ代表はこの頃「地球村戦争終息と平和を成し遂げる」をスローガンに1000人を集めて、世界の平和歴訪を進めていた。

当時のミンダナオは銃弾が行き交う戦場であった。84歳という高齢で、命を落とす危険のある地域に行くのは平和活動家といえど容易な判断ではない。しかしイ代表は「平和活動の要請を断る理由はない」として、国境、人種、宗教を超えて韓国から遠い異国の戦場へと向かった。

ミンダナオ紛争の本質がカトリック・イスラム間の宗教紛争である事を看破したイ代表は、2014年1月24日ジェネラルサントス市のホテルに集まった宗教指導者をはじめ、青年団体、大学教授など参加者に平和の必要性を力説した。

イ代表は40年間宗教を口実に紛争を助長した宗教指導者たちを強く叱責し「神の意志は、戦争ではなく平和である」と強調した。続いて参加者に「平和を望むのか、戦争をしたいのか」と聞いて平和を望む者は手を上げるようにと促した。
すると参加者全員が手を上げたのだ。代表は「であれば、平和協定に署名をしてください」と双方の代表を前に呼んだ。カトリックの代表フェルナンドカペラ前大司教、イスラム教代表のイスマエル イスラム自治区マギンダナオ州知事が戦争終結と世界平和条約に合意したのだ。



この瞬間、40年に渡り大統領でさえ成し得なかった紛争が、民間人の手によって終結を迎えた。


 

このニュースを伝えたフィリピンPTVのカチン記者はこう語る。「イ代表は政治家とは違った。本当に平和のためだけに銃弾が飛び交うミンダナオに来られた」。続いて「紛争に疲れた住民は誰もが政治家とイ代表の違いをすぐに分かった。彼の訴える『平和』には偽りがなく国民の心を動かした。イ代表そしてHWPLだからこそ平和協定がなされた」と強調した。

 


 

2015年、平和協定2周年の記念としてミンダナオに「HWPL平和記念碑」が建てられた。カトリック・イスラムの両指導者は「神と世界の万民の前に再び宗教紛争をしないこと」と「HWPLと平和の使者になること」を約束した。今やミンダナオの住民は銃を捨て、カトリック・イスラムを超えて会話する光景が日常的に見られるようになった。

なんの権力も持たない民間人であるイ代表は功績を讃えられ数多くの平和賞を受賞したが、「私にとって真の褒賞は平和です」とコメントしている。

 



日本でも10年以上に渡りミンダナオの和平進展を援助しており、バンサモロ暫定自治政府の発足を歓迎している。HWPLの活動により平和を手に入れたミンダナオが世界平和の大きな希望になることは、日本を始め世界中が確信を持って伝えるべき歴史的快挙だと言えるだろう。

出典:http://www.newscj.com/news/articleView.html?idxno=742988