「この人との関係を、もう一度やり直せたら――」
大切な人との関係がギクシャクしていたり、一度壊れてしまったかもしれないとき、そんな思いが胸を締め付けることはありませんか?
たとえば、長い付き合いのパートナーや家族、親友など……。
もともとは深く愛し合っていたり、信頼し合っていたのに、いつのまにかすれ違いやケンカが重なって、ぎこちなくなってしまった。
「やり直したい」と思っても、一体どこからどう始めればいいのか。
相手に気持ちを伝えたくても、どう受け止められるかが怖くて、つい言い出せなくなってしまいますよね。
だけど、もしもう一度だけ勇気を出せるのなら――。
やさしく寄り添いながら、お互いの心の声を聴き合うことはきっとできます。
今回は、「大切な人とやりなおしたい」と願う方に向けて、心をほどくための“傾聴術”をお伝えします。
ゆっくり読んでいただきながら、あなたと相手の心が、少しでも温かく通じ合うきっかけになれば幸いです。
いったん壊れかけてしまった関係を元に戻すには、いくつかの不安や壁が立ちはだかります。
たとえば、次のような気持ちはありませんか?
- 「何を言っても、もう聞いてもらえないかもしれない」
- 「過去のことを思い返すたびに、申し訳なさや悔しさで胸が痛む」
- 「お互いの考えが大きく違うのでは、と怖くなっている」
- 「私が悪かったのか、相手が悪かったのか、堂々巡りになって疲れている」
こうした感情はとても自然なものです。
でも、同時に「やり直したい」という思いが残っているからこそ、モヤモヤとした状態が続いてしまうんですよね。
そこで改めて意識したいのが、“傾聴”という姿勢です。
相手の言葉や想いに耳を傾けるだけでなく、「自分自身の心」にもそっと耳を当ててみること。
ときには、これが唯一にしてもっともシンプルな関係修復の鍵になるのです。
では、どうすれば自分も相手も傷つけず、関係を修復できるのか?
答えの一つは、お互いが「本音を話し、相手の本音を受け止めあう」ことにあります。
そこには必ず“傾聴”が欠かせません。
心理学的にも、相手が誰かに受け止められたと感じるとき、脳内にはオキシトシン(愛情ホルモン)が分泌されて、警戒や恐怖が和らぐとされています。
これは、赤ちゃんがお母さんに抱かれたときに安心を感じる仕組みと同じ。
大人同士でも、「安心できる」と感じる瞬間に生まれる優しいエネルギーこそ、すれ違いをほどいていく土台になります。
あなた自身が落ち着いて相手の声を聴く。
そして、自分の気持ちを伝えたいときも、相手が落ち着いて聴けるよう配慮する――。
そんな丁寧なコミュニケーションを重ねるうちに、「もう一度、始めてみてもいいかも」というあたたかな灯が生まれていくはずです。
それでは、どのようなことを具体的にすればいいのかを見ていきましょう!
ぜひ、あなたの生活に取り入れてさまざまなことを乗り越えていってくださいね^^
ステップ1:自分の気持ちをそっと抱きしめる
「やり直したい」と思っているあなたの気持ちを、まずはまるごと認めてあげましょう。
たとえ周囲に反対されたり、「もう遅い」と言われても、あなたの心が大切な人を思っていること自体を否定しなくていいのです。
「こんなに心が苦しいのは、それだけ相手を大切に思っている証なんだ」と、自分を抱きしめるイメージをしてみてください。
ステップ2:相手との過去を否定しすぎない
一度別れたり、冷戦状態になってしまうと、「あれは全部間違いだったんだ」と過去を全部否定してしまいがち。でも、もともと大切な人だったからこそ、たくさんの幸せや温かさを共有してきたはずです。
嫌だったことや誤解もあったかもしれませんが、「それでも一緒に過ごせた大切な時間があったから、今またやり直したいと思えるんだ」と、少しだけ過去に感謝してみましょう。
ステップ3:話を聴くときは「余白」を大切に
いざ話し合うときは、相手が話し始めたら、途中でさえぎらずに最後まで聴くことを意識してみてください。
反論したい気持ちが湧いたら、心の中で「一度だけ深呼吸」してみましょう。
言葉の途中に「うん、うん」と肯定のあいづちを入れるだけでも、相手は安心して語りやすくなります。沈黙があっても、あわてずに待つ“余白”をつくると、お互いの心の声がこぼれやすくなりますよ。
ステップ4:素直な言葉を短く伝えてみる
相手の想いを聴いたら、こんどはあなたの気持ちを伝える番です。「悲しかった」「一緒に笑う時間を取り戻したい」――そんな正直な言葉を、短くシンプルに愛を込めて伝えてみましょう。
長々と説明しようとすると、途中ですれ違ってしまうこともあります。
まずは「私はこう思っているんだ」というコアな部分を、ゆっくりと落ち着いた口調で。言葉に詰まってもかまいません。一言ずつ、愛をこめて伝えることが大事です。
大切にしたいポイントは二点。
○相手と自分、両方の“声”を大切にする
傾聴というと「相手の話を聴く」イメージが強いですが、自分自身の心を聴くことも同じくらい大切。
お互いが自分の気持ちに正直でいられる状態が、やり直しへの第一歩です。
○泣いてもいい、沈黙してもいい*
コミュニケーションの場面で、涙や沈黙が起こることもあるでしょう。
でもそれは、心が動いている証拠。大切な関係ほど、感情が大きく揺れるのは当たり前です。無理に取り繕うより、落ち着いて受け止めるほうが、お互いに素直になりやすくなります。
さて、ここで相談者や受講生からよくいただく質問にも答えたいと思います。
Q1: 「どんなに聴こうとしても、言い合いになってしまいそうで怖いです…」
A1: 言い合いになりそうだと感じるときは、あえて時間や場所を選び直すのがポイントです。
たとえば、二人とも少し疲れていないとき、落ち着いて話せるカフェや静かな部屋など、安心できる環境を用意してみましょう。そうすることで急な感情の爆発を少しずつ抑えられます。
Q2: 「自分ばかりが譲ってしまい、相手の気持ちばかり優先してしまいそうです」
A2: やり直したい気持ちが強いほど、自分のことは後回しにしてしまうことがありますよね。
でも、あなた自身の想いを無視して続けても、きっとどこかで苦しくなってしまいます。
自分の心を大切にしながら相手を聴く――
そのバランスを意識するだけで、少しずつ変わっていきますよ。
Q3: 「一度別れた相手と本当にやり直せるのか、不安で仕方ありません」
A3: 未来は誰にも分からないからこそ、不安を感じてしまうものです。
でも、その“不安”は「本当はまた一緒に笑って暮らしたい」というポジティブな願いの裏返しでもあります。
まずは小さな一歩――
メールや電話で近況を聴く、共通の知人にさりげなく相手の様子をうかがうなど――
から始めてみてもいいでしょう。
少しずつ心の距離を近づけるうちに、新しい道が見えてきます。
最後に
大切な人との「やり直し」は、簡単ではないかもしれません。
けれど、「どうしてもまた一緒にいたい」「もう一度、心を通わせたい」と願うなら、その想いを大事にしてほしいのです。
- まずは自分自身の想いを否定しない
- 次に、相手の言葉にそっと耳を澄ませてあげる
- そして、自分の気持ちも短い言葉でいいから、ゆっくり伝えてみる
この積み重ねが、すれ違っていた心を少しずつほどき、「やっぱり大切な人だ」と改めて感じ合うきっかけになるはずです。
どんなに弱くなった関係でも、“傾聴”の姿勢を取り戻すことで、再びあたたかな関係へと育て直すことは可能です。あなたのやりなおしたい願いが、優しい言葉と行動に変わりますように。ゆっくり、ていねいに、歩んでいきましょう。
あなたとその大切な方との関係が、新しくあたたかい光のもとで再び紡がれることを、心から応援しています。
神戸より愛を込めて