横浜駅にほど近いムービルで観てきました。
ムービルはもともと相鉄ローゼンが経営していたようですが、2006年から東急レクリエーションが経営するようになったとのこと。
劇場の中は昔ながらの映画館という感じで、スクリーンの位置が席上からの目線よりも基本的に高く、見上げながら映画を観るという感じです。
個人的には他の109シネマズと同等の内装が、とりわけ席とスクリーンの位置関係が、映画の見やすさから好ましいなぁと思っています。

さて、映画の内容ですが、今年のアカデミー賞のうち、作品賞と脚本賞を受賞しただけのことはあって、話の進め方がうまいなと感じました。
テーマは決して明るくはないものですが、全体の雰囲気が暗くならず、すんなりと話が入ってきました。

この映画で題材となっている教会で起こっていたことについては、古い教義を実情にそぐわない状況でも厳格に守ろうとしていることや、作品の中でも触れられていた教会の隠蔽体質から起こるのだろうなと思いました。

カトリックの聖職者は禁欲の誓いを立てなければならないようですが、神父と言えども人間ですから、杓子定規に禁欲を強いるのは無理があると思います。
そのあたりはよく分かってはいるのでしょうが、カトリックの教義を今になって変えることは容易ではないんでしょう。

隠蔽体質は教会に限らず色々なところ、例えば企業でも見られますよね。
日本企業については最近隠蔽の事実が明らかになったというニュースが多いと思います。
海外でもフォルクスワーゲンがあんな大それた偽装をしてるとは思いもよらなかったです。
教会や大企業などは、組織の歴史が古く、また規模が大きくなればなるほど、不都合な事実を隠したくなるのが性(サガ)なんでしょうか。

ところで話の本筋からは外れますが、ロビー役のマイケル・キートンが、冒頭のシーンで同僚の退職を惜しむために行ったスピーチを見て、アメリカの職場はああいう思わず笑ってしまうようなジョークが日常的に飛び交う環境なんだろうなと改めて感心しました。
日本の職場でも退職時に上司から送辞のようなものはありますが、あんなに気の利いたジョークは聞いたことがありません。(もちろん映画の中での話なので、現実にもそうなのか確実ではありませんが)
決してアメリカ(欧米)の職場の雰囲気が全てだとは思いませんが、少なくとも自分の職場もあんな感じでフランクだったらいいのになぁと思ったりもします。
このことは、上司であるロビーに向かって、かなり攻撃的な言葉をいい放ったマーク・ラファロ (マイケル・レゼンデス役)の態度を見たときも思いました。
日本であそこまで上司の判断を痛烈に批判することは、なかなかないように思います。
というか、あそこまで普通言えないだろーと思いました。
この感覚は日本人特有なんだろうなぁ。