5歳からピアノをやっていた。
音楽が好きだった。
歌が好きだった。
地元の男の子と作り始め、運よく19歳でスカウトされた。
まだ短大生だったから、東北の田舎から東京まで通いながら頑張った。
が、そう簡単に芽が出るはずもなく。
20歳で上京するも、音楽活動はうまくいかなかった。
それからバンドを組んだ。これもなかなかいいところまでいったのだが、やはりあと一歩というところでダメだった。
安い時給でバイトをふたつかけもちし、徹夜でスタジオに入り練習をし、さぁライブだとなっても客が少ないから自分の財布からなけなしの金をだすような毎日だった。
挙句、鬱病やらなんやらに苦しめられ、それはそれはダークな毎日だった。
それでも、しつこい私は夢を捨てきれずにしがみついていた。
今思い出しても当時の私は身も心もボロボロだったなと思う。
そして、声がでなくなった。
26歳の時だった。
もう目の前真っ暗。
声がでなくなるなんて予想外。
歌が歌えなくなる日がくるなんて思ってもみなかった。
大きな病院を紹介され耳の検査まで行ったが、特に問題はないと言われた。
これは心因性ですねと。
そこから歌はおろかしゃべるのも大変な日々が始まった。
声をだそうとすると喉のあたりを誰かに引っ張られているような感じがして声を飲み込んでしまう。
今までした悪いことの罰が一気にきたなと思った。
バンドは解散。私はショックで生活からできるだけ音楽をなくした。
とても寂しかったけれど聴けなかった。
物心ついてからそれまで音楽に溢れる環境にいたのに。
歌えない自分に価値を見出せず、ただただ息をするだけの毎日だった。
とにかく辛かった。
それから8年。
最近やっと少し声がでるようになってきた。
小声なら子守唄も歌えるようになった。
子供は親の役に立ちたくて生まれてくると昔なにかの本で読んだけれど、それじゃなくてもロックのおかげだと確信している。
ロックが私に、「生きる」と「愛してる」を教えてくれたおかげだと思えてならない。
現役時代の私は傲慢で嫌な奴だった。
天狗だった。
それでいて弱く、人に依存し、どか食いしたかと思うとタバコだけ吸ってなにも食べなかったり、周りにも自分にも優しくなかった。
でも今は違う。ロックがいるから生活がしっかりしている。
よく笑い、よく泣き、よく食べるようになった。
人間って不思議だなぁと思う。
心と身体は繋がっていて、結局は同んなじところにあるんだ。
心の健康を手に入れたから、声もでるようになったんだと思う。
本当、ありがたいです。
まだまだ出ないけどさ。
いつかまたどっかで歌えたら嬉しいね。
