収益プランナー奥村光英の明日のため今できること -7ページ目

AKB48は、なぜビジネス界から愛されるのか? その4

■商品・サービスを分解し、ビジネスモデルを紐解く

○商品・サービスを事業としてまとめてみる。

このように、AKB48の活動を振り返ってみると、様々な商品やサービスが提供されてきたことがわかります。

そこで、次に、AKB48を通して提供される、各商品・サービスをを確認し、事業単位に整理していきたいと思います。

まず、「AKB48活動調査資料」で調査した内容を確認してみると、商品・サービスの項目として想定できるのが、「劇場での公演」「コンサート」「CD、DVD、書籍、その他のコンテンツ」「テレビ、ラジオ、WEB番組、CMなどの出演」「HPなどの会員コンテンツ」などが、まず挙げられます。

・AKB48活動調査資料
http://ameblo.jp/creaconcier/entry-10909412162.html

次に、株式会社AKSの会社概要に掲載されている事業概要、AKB48の公式サイトに掲載されているサービス群を確認すると、「グッズの製作・販売」や「テレビ、ラジオ、WEB番組、CMなどの企画・製作」「CD、DVD、書籍、その他のコンテンツの企画・制作」などが考えられます。

・株式会社AKSの会社概要
http://www.akb48.co.jp/company/

・AKB48の公式HP
http://www.akb48.co.jp/index.html


また、AKB48の公式ブログを確認すると、当初株式会社AKSに所属していたメンバーを、各プロダクションに移籍させていることが分かります。

・AKB48の公式ブログ
http://ameblo.jp/akihabara48/entry-10038637344.html

この移籍に関して、金銭の授受があるかどうかは分かりませんが、プロダクションが他のプロダクションに有望株のタレントを移籍させるということは通常考えられないことです。

その意味で有望なタレントを、他のプロダクションに供給するサービスという視点で考えることができ「タレント移籍」もサービスの1つとすべきでしょう。

そして、その他のサービスとしては、「追跡A to Z 「アキバアイドルを輸出せよ」」のサイトによると、2009年当時の秋元氏の考えとして、AKB48のアイデアやスタイルを権利として売る「フォーマット販売」を行っていくとされていています。


・追跡A to Z / アキバアイドルを輸出せよのサイト
http://www.nhk.or.jp/tsuiseki/file/list/091205.html


ここから、AKB48はアイドルユニットとしての活動だけではなく、「ビジネスモデル」自体をも販売していこうという考えがあって、それに取り組まれていることが分かります。


このように、AKB48を通して提供される主な商品・サービスとして、様々なものが想定されます。

ただ、このままでは全体像が捉えにくく、分かりずらいため、事業単位にまとめ整理してみます。


「イベント事業」・・・公演、コンサート、ファンサービスイベント等
「物販事業」・・・グッズ販売、販売権提供
「制作事業」・・・CD、DVD、書籍、その他アイテム・コンテンツの製作と製作権提供
「プロダクション事業」・・・タレント提供・移籍
「広告事業」・・・広告枠提供(イベント事業における会場等)
「会員事業」・・・「柱の会」「携帯サイト会員」など
「ビジネスモデル販売事業」・・・プラットフォーム販売

すると、上記の様に商品・サービスを振り分けることができ、結果「イベント事業」「物販事業」「制作事業」「プロダクション事業」「広告事業」「会員事業」「ビジネスモデル販売事業」の大きく7つの事業に整理することができます。

AKB48は、なぜビジネス界から愛されるのか? その3

○2009年:正のビジネススパイラル構築期

2009年もその活動は継続して行われます。テレビ番組への出演も安定し、コンサートも定期的に全国各地で開催されるようになります。

また、CDのリリースと同時にファンサービスイベントとして握手会を開催し、全国のファンを囲い込んで行きます。

ファンにとって、憧れの芸能人と握手できる機会は、そうそうないはずですので、参加された方は一生の思い出になったのではないでしょうか?

これによって、ファンとの関係値を強固なものにしていきます。

ただし、AKB48活動調査資料を見ていただくと分かるのですが、2009年の時点では、ビジネスの側面で見るとまだまだ弱い分野があります。

・AKB48活動調査資料
http://ameblo.jp/creaconcier/entry-10909412162.html

そう、CMの分野です。

AKB48としての人気は確実に向上しているはずですが、まだ、日本の顔として多くのCMに採用されるまでには至っていません。

そこで、秋元氏は、この状況を打破すべく、このタイミングである施策を実施します。

そうそれが、今では毎年の定番の大イベントとなりつつある「選抜総選挙」だったのです。

このイベントの実施によって、AKB48はもちろん、各メンバーの個々の知名度が格段に向上することになります。

実際、このイベントを境に、AKB48のメンバーの名前と顔が一致するようになったという方も多かったのではないでしょうか。

「選抜総選挙」は、投票制度などCDの売上の側面がクローズアップされがちですが、このタイミングでの実施には、メンバー個々の認知の向上など、副次的な狙いがあったと考えます。

この期間を、ビジネスで捉えるなら、正のスパイラルを構築するための最後の仕上げが実施された期間であると考えられます。


○2010年~現在:正のビジネススパイラル深堀・展開期

そして、「選抜総選挙」の大成功をもって、2010年に入るとAKB48は不動の地位を獲得します。

2009年度は、数本しかなかったCMも圧倒的に増加し、活動領域すべての分野での制覇が完了しました。

これにより、AKB48としてのビジネスは、目指していた正のスパイラルの構築が一旦完了したことになります。

ビジネスで考えるなら、売上と利益が安定し、ようやく一息付ける段階まで成長したといえるでしょう。

通常この段階までビジネスが成長すると、投資資金を回収するために、定形的な活動による収益化と、陳腐化を避けるための取り組みが安定的に行われていく事になります。

そして、この状態に満足するのであれば、無駄な投資をせず、収益を得ることに専念するための施策が展開されることになり、

さらなる成長を目指すのであれば、得た収益金を活用して次の展開を目指すことになります。

そして、同じビジネスで新たな成長を目指すのであれば、顧客をさらに深彫りして顧客内シェアを追求していくか、ビジネスをトランスファーすることで、新たな市場の獲得を目指すことがセオリーとなります。

AKB48の場合、直近の活動を見ると、まだまだ成長を目指していくようです。

実際、顧客の深堀の施策としては、ユニットを次々と創出し、顧客内シェアの拡大を目指していますし、

新たな市場を得るための施策としては、関西への展開を目指したMAB48の創立や、現在オーディションを行っているHKT48での九州地区への展開が検討されています。

また、ライブドアニュースによると、海外進出として、香港への進出が検討され、着々と進んでいるようです。

・ライブドアニュースより
http://news.livedoor.com/article/detail/5573877/

この状況から、今後は、さらなる顧客内シェアの獲得を目指しつつ、各地域への展開が加速していくものと考えます。

AKB48は、なぜビジネス界から愛されるのか? その2

■まず、AKB48の活動を振り返る。

隠れた「仕掛け」を知るために、まずAKB48の活動の履歴を確認したいと思います。

「会いに行けるアイドル」として2005年12月に始動したAKB48は、2006年より本格的に活動を開始します。

・AKB48活動調査資料
http://ameblo.jp/creaconcier/entry-10909412162.html

○2006年:ファン層の獲得のための投資の期間

具体的な活用内容をまとめてみると、「AKB48活動調査資料」のとおりとなり、2006年の活動内容は、劇場での公演がメインであることが伺えます。

最近の活動と比べるまでもなく、テレビやラジオ、雑誌などの露出も極端に少なく、劇場以外でのコンサートは2006年の11月まで行われていません。

また、CDもインディーズで2枚、メジャーで1枚のリリースのみとなります。

一方で、ファンサービスイベントを見てみると、AKB48のメンバーと直接触れ合えるだけでなく、一緒に行動できるイベントも数多く開催されています。

AKB48は、素人に近い女の子をオーディションで採用し、活動を開始していることから、いきなりスタートしてのデビューを目指すのではなく、

まずは、地道な初期ファン層の獲得を目指しつつ、同時に育成を行っていった期間であったと考えられます。

この時期を、ビジネスの側面でみると、公演活動での収益がメインであり、今後のCDリリースなど、他のビジネスへの展開を模索している段階といえます。

○2007年:顧客基盤を形成するための期間

公演での基本的な活動は変わりませんが、2007年になると、CDの発売数が増え、同時に公演以外でのコンサートの回数が増えます。

また、ファンサービスイベントも継続して行われますが、握手会が中心となり、一緒に行動できる内容のものはなくなります。

TVやラジオ、雑誌への露出も増えてきますが、まだまだ少なく、主軸の活動とは言えない状況です。

ただし、公演内容が収録されたのDVDを数多く販売していることから、劇場に足を運べないファン層に対しても公演のコンテンツを提供することで、ファンの拡大を目指していることが伺えます。

つまり、2007年は、2006年に獲得した初期ファン層を拡大しつつ、コアファンを獲得するための深堀の期間であったと考えられます。

この時期をビジネスで捉えると、公演での顧客と収益の基盤が構築されたことによって、収益の多面化と拡大を目指している段階といえます。


○2008年:シェアを拡大するための期間

再度、AKB48活動調査資料をご覧いただきたいのですが、2008年になるとTV番組への出演が一気に増加します。

・AKB48活動調査資料
http://ameblo.jp/creaconcier/entry-10909412162.html

キー局での出演が増え、AKB48としての初冠番組を持ったのもこの時期です。全国へシェアを拡大するための活動を開始したと考えることができるでしょう。

一方で、劇場での公演の活動状況を見てみると、新しい公演演目をA・B・Kチームともそれぞれ出しており、継続しているローカルでの活動にも決して力を抜いているようには見えません。

このことから、2007年では、公演のDVDなどを多く販売することで、コアファンの拡大と深堀を行っていましたが、2008年はその施策を継続しつつ、顧客層を拡大するために、全国に打って出た時期と言えます。

SKE48が発足したのも2008年であることから、戦略が切り替わったことを裏付けているのではないでしょうか。

ビジネスで捉えるなら、ニッチャーとしてローカル市場を制覇したのちに、その基盤を軸にリーダー戦略に切り替え一気に全国に展開を開始した段階と言えるでしょう。

この時期に、全国にAKB48ファン、いわゆるロイヤル顧客を一気に拡大して行きます。