どしゃ降りの水曜日の午後。
普段はもちろん、カタギのフリをしている。
だがあるとき世間話をしていて、少しボロを出した。
知人「いま時給が高いバイトを探しているの」
私「夜だともう少し給料が上がりますよ」
知人「お水はしないって、旦那と約束してるから」
私は「深夜帯のバイト(工場など)」と言いたかったのが、
「よる」と言っていた。
タメの男の子には嘘をついているが、30歳近くて紆余曲折歩んでそうな彼女なら、
私がお水やってるって薄々気づいているかもしれない。
今朝は電話でうっぷん晴らしのように業界のことを話しまくった。
深夜から夜明けは、いかにも花盛りで自信のありそうなホストたちが、街を闊歩している。
もはや見慣れたものの、やはり理解に苦しむ。彼らからは妙なオーラすら感じることがある。
やはりホストらしき男の子が、携帯電話を片手に気だるそうにベランダにもたれかかっているのを見上げた。何度も見上げた。フワフワの茶髪の、儚げな青年だった。
紫色の雨雲とビルと青年かぁ。
私はある男に嘘をついていて、彼はそれを信じていつも私に聞いてくる。
今日も深夜の工場のアルバイトなの?って。
私は適当に嘘を塗り重ねてゆく。
彼に彼女がいるかどうかなんて知らないが、
私は彼のことが少し気になっていた。
今でも少し気になる。
でもなぁ…嘘ついてるんだぁ。
彼に。
それからまた次に会うときも、また深夜の工場バイトどう?って聞いてくる。
私は適当に頷く。
つまんないよ。
どうしたの?
しんどいの?
だって。
ただ機嫌悪くしてただけだのにね。
どうもしないよ。
つまんないよ。
どうもしないよ。
いつもタレント性のある、お喋りを売っているホスと話すけど
べつに何てことない。
そりゃあ彼らの大半な性格が良くて、人を惹きつける何かを持ってるね。
でもやっぱり話してて妙な気分になるのは、
自転車で何駅も移動して、別段ハンサムでもオシャレでもない地味な男の子だったり。
その気分は恋愛感情ではない。
不思議なものを垣間見たとき、腹の底で不可解に思う、猜疑心
明日も明後日もずっと雨だといい。