人はどうしてこんなにも傷つくのか

長い一週間だった。
若い女ふたりで歩く。午前五時、私も彼女も傷みきった髪をセットして、ハードスプレーで固めていた。
通りすがりの黒人が
「Hi」
と言うので私も
「Hi」
と答えた。

あとから振りかえると、黒人が小走りに地下鉄へ向かう背中が見えた。肌寒い春の朝だ。

スーパーでひとつのカゴを二人で握り、日用雑貨や弁当を放り込んだ。彼女の家の前で、私がロック番号を押した。
お互いにテレビを見ながら、重苦しい毎日を愚痴っていた。
私は床に落ちていたビラを手に取り、それを見ながら持て余していた。
友人はこの部屋で見知らぬ男に強姦されたイキサツを話していた。
「…それで使ったあとのゴムがないから、必死に部屋を探したの。でもなかった。もしも中だしされてたら…」
私は開口した。
「これポストに入ってたの?デリやん。下らんな」
ビラをゴミ箱に投げ入れた。

先週は地元友達と飯に行った。
週末は号泣しながら暴れた。
重い心を引きずり、深夜の街をはいかいした。

彼女は私にささいな嘘をついてる。
私はファッション誌を見ながら、一緒にテレビを見ていた。
知人が出演するので、律儀に時間まで起きていた。
私はなぜか室内でサングラスをしながら雑誌をめくった。
彼女が風呂のあいだ、部屋である書類を見てしまった。
勝手に無断で見ておいて、一気に具合いが悪くなった。

深夜のファミレスでアホみたいにホスクラの話をしたり、電車で手をつないだり、そんな間柄でも互いを警戒している。

完璧を求めはしまい。だが私は、これ以上に人を傷付け、自分の心も傷めながら生きてく自信がない。


金具でひっかかれ、大量のピンで止めあげられ、よく分からないスプレーでガチガチに固められた、色褪せた髪と

この網膜に灰色に広がる風景

人々のなにげない誤解

もう辛いよ
悲しい。