朝方、ビルの五階から金髪の若い男が手を振っていた。
「〇ちゃ~ん!」
私と一緒に歩いていた、金髪ガングロの派手な女子のことだった。彼女は彼を無視していた。
そして黒髪で色白で普通で地味な私は、彼を指さした。

深夜から朝は、ホストがうざいので私は彼女の手を引いて歩いた。
車からナンパしてくる黒人は
「レイディ~ズ!」

やれ。男も万国共通。女をコキ下ろしても無駄だ。

二人で和食を食べて、カラオケして、彼女の家に泊まった。

と言っても誰も信じない。男だろホストだろと言う。

そうだったらまだいいな。それほど振り替えれば陰欝な一日だった。

ひとつのベッドで寝て、女性特有の病名を聞かされ、最低限のものしかない寂しいワンルームを見ても


私は他人に興味がない。空虚で乾ききっている。虚しい心だ。

夜、タクシーを呼び止めた。

運も実力のうちか。
実力で運を変えてやる。
もう嫌なんだ、もう。そうでなきゃ私はもう最悪なままだ。


起きたら仕事のミーティングと、その後の約束の時間も過ぎていた。

ミーティングも約束も絶対に行きたかった。最低だ。自分との約束も守れない。


モーツァルトですら貧しく死んだ。

シューマンは深く傷つき再起できないまま死んだ。

そんなのは嫌だと思ってた。


だけど彼らは生きていた。




全力で生きていた。
疲れて眠ったまま、起きなかった。

今でも死なずに、時間も距離も遠く離れた、誰かの心に生きている。

例えば日本という国の愚鈍で地味で何やらせてもダメで、何の価値もない女とか?脇役争いの土俵にも立てない。

生きて思いきり笑ったり泣いたりしたい。

半端な涙は要らない。苦笑いも冷笑も愛想笑いも要らない。

だから捨てていく。
この世界も私を切り捨てた。