映画「容疑者Xの献身」 | さるすべり日記

映画「容疑者Xの献身」

原作に愛着があったのと ドラマ化されたときキャストと演出の一部が好きになれなくて微妙な感じだったのと 映画のキャストもイメージと合わなかったため 劇場に行こうかどうかしばらく悩んでいたのですが 夜おうちでごろごろしているうちに 行かないで不満なのもどうかと思いなおしました そうしたらすぐにでも見たくなって真夜中にネットで席を予約し朝一番に見てきました

ここから先は映画の感想です

http://yougisha-x.com/


見に行った感想は 原作とか脚本とか そんなのどうでもいいというか どちらもハッピーなんじゃないかと思えるくらい良かった 原作から無くなったところも 変わったところも 加わっているところも どれも映画が自立していてよかった 石神役の堤さんと花岡靖子役の松雪さんが原作のイメージから離れていることで 工藤と花岡靖子の男女の艶っぽさが無くなったり脚本も変わらざるをえなかったんだろうけど 演技が素晴らしいし脚本にも無理がなくて すっと映画の世界に入って夢中になれた ただ刑事役の美人な柴咲さんが長年の友人の草薙の代わりになったのに 「友人として話を聞いてくれるか」のところを変えなかったのは腑に落ちなかった 友情と友情のトライアングルのバランスが 数年事件を通じて関わりがある女にすり替わることでどうしたって異質なものになってしまう べつに 男と女の友情は成立するかなんて話をしているのではなく 学生時代の友人というかけがえのなさを補うために そこは友情ではなく愛情に踏み込んでほしかった そこに湯川と内海の関係が進展することで 湯川の告白も 真相の重大さも 刑事として秘密を共有できないときに失うものの大きさも 切迫感が増したと思うのだけど 残念だった 湯川の人格にまでゆがみをきたすような影響力があるはずだろうと思ったけれど それがあまり感じられなかったのかな

それでも ツーっと後半から涙がこぼれて 同じところで 隣の男の子も泣いていたみたいで その場面は 小説を読んでいた人だけが泣ける場面のはずで ああ いっしょだぁ おんなじところで涙がでるなんて 気が合うねぇなんて 気になってこっそり横を見てみたら ひょろっとした高校生くらいの眼鏡君が これまたほそほそとした指先でまつげのあたりを二、三回そっとなぞっているところで その一瞬に見とれてキュンとなっていたら スクリーンは ちょうど花岡美里役の金澤美穂ちゃんの笑顔がいっぱいにまぶしくて 素晴らしいかった なんで美里の自殺のくだりがなくなってしまったのだろうか それは工藤と花岡靖子の男女の艶っぽさが無くなったこととセットなわけだけど このへんがごっそりなくなって残念だった それを差し引いても充分素晴らしい映画だったので 原作の凄みを際立たせている そして今日原作を読み返してみたけれど 昨日見た映画のオリジナル部分が 原作を読みすすめていくと ところどころで効果的に作用して感じていることに気づいたのです つまりは私にとってどちらもハッピーな作品が生まれたんだなと思ったしだいです

また映画みたくなりました もういちど劇場にいけるといいな