坊っちゃんと細雪
松山に行くので ちょっと気分を盛り上げようと思い
夏目漱石の『坊っちゃん』をひさしぶりに読みました
この夏 『こころ』を読んだばかりでしたので どうしても比較してしまうのですが
江戸っ子ではない私には 坊っちゃんのギラギラとして唐突な行動に
ハラハラ心臓がドキドキしてしまって
初めのころは読むのが難儀でした
もっと なんだかゆるゆるした話のような気がしたのだけど
なんでもない場面で 知らないうちに自分の過去を振り返ってツーンとしたり
やっぱり 大人になってから読むと 本がくれるものはだいぶ変わるんだな
中学・高校で読んだ坊ちゃん先輩
いつのまにか年を追い越して
いまとなっては 随分年下の男の子になってしまいました(笑)
かわいい
『坊っちゃん』 夏目 漱石 (岩波文庫)
それと 箱根に行ったころから のんびりと電車の中で読み続けていた
細雪もようやく読み終わりました
お見合いがうまくいかない三女雪子や モダンガールな四女妙子に対する心象さえも
はんなり はんなりと 揺れて移り変わっていくのだけど
次女幸子の視点で読むことで 身内の情が乗り移り
つい短気をおこして糾弾したくなるイライラを抱えながらも
最後は 長女鶴子をはじめとするこの姉妹が どうか幸せになるようにと
頁をめくるたびに つよく祈ってしまうのでした
物静かで清く頑固で情に厚いところ
なんだかんだと周りが世話を焼くが 結局最後にちゃんと自分の幸せをつかんでいるところ
雪子は 性格がうちの姉に似ているような気がして
途中から 顔がお姉ちゃんになっていました
『細雪 (上・中・下)』 谷崎 潤一郎 (新潮文庫)
相手を良く知るほどに ばっさりとあいつは駄目だって言えなくなるのかもしれない
短気で我を守るもの ひとつ思いとどまって我を守るもの
読みながらさらりと我を顧みて じっとり手に汗かいてしまう物語たちなのでした