百人一首切手
来月 百人一首切手 が発売されるので そのご紹介を
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(毎日新聞より)
百人一首というと「小倉百人一首」を連想するが、選者の藤原定家は鎌倉初期の歌人であり、
勅撰和歌集の「古今集」から「新古今集」までから選歌された。定家が京都・小倉山近郊に
住んだことからこの名があるが、その後、手も加わっている。
江戸期の歌留多(かるた)といえば、専ら「百人一首」と「いろは歌留多」。その中でも、
尾形光琳の絵の通称「光琳かるた」が人気を誇ったという。
ふみの日記念切手は、この絵柄を基にデザイン、80円切手は「上の句」は歌人の肖像、
「下の句」は歌意にあう風景をあしらった対になっている。
■今回選ばれた5首(「80円切手シート」の上から)
【春の歌】人はいさ心も知らず故郷は
花ぞ昔の香ににおいける(紀貫之)
【夏の歌】春過ぎて夏来にけらし白妙の
衣ほすちょう天の香具山(持統天皇)
【秋の歌】奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の
声聞く時ぞ秋は悲しき(猿丸大夫)
【冬の歌】淡路島通う千鳥の鳴く声に
幾夜寝覚めぬ須磨の関守(源兼昌)
【恋の歌】わが袖は潮干に見えぬ沖の石の
人こそ知らね乾く間もなし(二条院讃岐)
◇線質、筆法に味わい
歌を読むと、例えば「夏来にけらし」(夏・持統天皇)は夏来たるらし」ではなかったか、
と思うかもしれないが、初出の「万葉集」ではなく、「新古今」からの選歌。
「秋」の歌の猿丸大夫は“謎の人物”である。
揮毫書家の変体がなの妙、線質を味わうのはもちろんだが、もう一点紹介したい。
その猿丸大夫の歌「奥山に紅葉踏み分け……」は、人物画の左端に「奥山に」と書き出し、
右端に戻って「紅葉踏み分け……」と書き継ぐ。
「冬」の歌、源兼昌の名前が上の句の最後に書かれているが、これも同じ「逆勝手の手法」と
言われる技法である。
切手の筆法と絵を見ていると、本来的な「美しい日本」が浮かび上がってくる。
この「ふみの日記念切手」を張るには、どうやら印字文面は似合わず、揮毫書家の水茎に
遠く及ばなくとも、手書き文字にしくはないようだ。