「どうしても物が捨てられへんねん。」
そう言っていた
おじいちゃん。
捨てたくない。
捨てられない。
でも
数か月前から
断捨離を始められたようでした。
「もう自分の年を考えて
捨てていかないとな…。
家族が困るからな…。」
そんな言葉を私は
何とも言えない気持ちで
聞いていました。
うちのカフェに
毎日のように来てくださる
常連のおじいちゃん。
アミニズムの心を
もっていらっしゃるのでしょう。
うちのお店にある物を見ては
「この一輪挿しかわいいな~。」
「この小皿は何とも言えん顔しとる。」
「この壁の模様は動物の顔みたいに見えるわ。」
と
愛でておられて
いつもお召しになられている衣服は
とっても年期が入っていて
「これは30年前のズボン。」
「これは50年前のベルト。」
微笑みながら
撫でていました。
お若い頃から
石や木の実や木の枝を拾っては
置物としてコレクションにしたり
紐をつけてキーホルダーにしたり
削ってペーパーナイフにしたり
と
作品もかなりあると
見受けられました。
そんなおじいちゃんが
とっても清々しい顔で
うちのカフェにやってきて
「あー!すっきりや~![]()
がんばったわ。
全部捨てたで。
焼き物は割って袋に入れて
缶は缶でまとめて
やればできるもんやな~。
空間が広なったわ~!」
と。
そして
いつもの倍くらいのスピードで
ランチを召し上がられて
しみじみと
「あー、ほんまにおいしかったわ~。」
と
ため息交じりに
窓の外を見ながら呟かれました。
このときの
うちのカフェから見えた景色と
ランチの味は
ずっとずっとおじいちゃんの中に
残り続けることができたら
いいな・・・と
思いました。