「凄い」は副詞ではない! | 鶴の一声   de JH2BIZ

「凄い」は副詞ではない!

NHKテレビのオーバーツーリズムに関する番組で、鎌倉駅から大仏まで散策するコースの紹介をしていた。リポーターが実際に歩いて感想を話している。発音が共通語としてよく訓練されているベテランのリポーターとお見受けする。それがトンネルを通るときに言ったのだ。「トンネルの中は凄い涼しいですね」愕然とした。形容詞「凄い」の基本形(現代語では終止形と連体形が同じなので基本形と呼ぶのが主流)を副詞のように使う。規範文法として正しくは「凄く涼しいですね」でなくてはならない。なぜか「凄い」だけこのような使い方が蔓延しているのだ。「凄い美味しい」なんて当たり前によく耳にする。程度の概念が内在する形容詞が後続するときだけ使われるようなのだ。「凄い美しい」「凄い早い」「凄い暑い」「凄い明るい」などなど。程度の概念に乏しい形容詞には使いにくいようだが、「凄い丸い」「凄い四角い」「凄い黄色い」なども使われるようになるのだろうか。また、「凄い」は形容詞以外にも形容動詞の語幹や動詞にも使われる。「凄い元気」「凄い静か」「凄い寝た」「昨夜は凄い飲んだ」今のところ「凄い」以外に基本形のまま福祉として使われる形容詞は見当たらない。使われるものがあればぜひご教示願いたい。(早いおいで、今年は早い暑いなあ、などが使われる時が来るのが恐ろしい)最後になるが、私は日本語教師としても個人的にも「凄い」を副詞のように使うことには断固反対の立場である。誤用であるとの立場を貫く。
「凄く美味しい」〇
「凄い美味しい」✕