「ら抜き」の記述文法 | 鶴の一声   de JH2BIZ

「ら抜き」の記述文法

質問がありましたので「ら抜き」言葉について少し書こうと思う。 

専門的知識はいらないけれど、五段動詞、一段動詞の違いがわかる程度の基礎知識があるものとして書きます。 

 まず「文法」について。

 文法は
「記述文法」と
「規範文法」に分けることができます。 

事実としての言語活動があり、その中にどんな法則性があるか、を分析したものが「記述文法」であり、 

どんな規則に従っわなければならないか、をまとめたものが「規範文法」です。 

一般的に母語の理解を深めるために記述文法を学び(国語で習うのは大体記述文法)、

 外国語を習うときには
規範文法を学びます。

 言語学では「ら抜き」を音素単位(子音・母音を切り離す)まで分解して「ar抜き」と考えるのが主流になっています。

 そうすると五段動詞も一段動詞も同じ原理で可能形ができていることがわかるのです。 

資料として写真を二枚添えておきます。
五段動詞も一段動詞も同じ原理で可能形ができていることが分かると思います。



 五段動詞は約500年ほど前に段階ニまで進みました。 

それにより可能形が受け身や尊敬語から切り離されて紛れがなくなって都合が良いのです。

 段階一の形を可能形、
段階ニの形を可能動詞
と呼ぶ立場もありますが、私はどちらも可能形と呼ぶ立場を取ります。 

なお、関西地方や各地の方言では五段動詞も段階一、つまり「ar」が入ったまま使っている場合があります。 


飲めない→飲まれへん
    のmareへん 

 


さて、本題ですが、一段動詞は段階一までで止まっていました。

 それを以て「ら入り」と呼んでいるのです。

ところが昨今、二枚目の写真のように一段動詞でもar抜きが始まってきたのです。 

記述文法としてはar 抜き(いわゆるら抜き)が一般化してきているのです。 

受け身や尊敬語から切り離すことができるので自然で合理的な変化であるとする学者も増えてきました。 

もう50年もしないうちに国語審議会が規範文法でも許容範囲にいれるようになるでしょう。

 ちなみに、方言ではら抜き(ar抜き)が一般的である地方も多くあります。 

私の母語の名古屋弁もら抜きが普通です。
「食べられないよ」 

   ↓
「食べれ〜せんがや」



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