2SKタイプMOSFETの静特性 | 鶴の一声   de JH2BIZ

2SKタイプMOSFETの静特性

かつて定番であったMOSFET、

2SK241 のデータシートを眺めていた。

内部でカスケード接続されていて帰還容量が小さく、寄生発振に悩まされることが少なくてとても使いやすいのだ。

このFETはゲート電圧0V のときにもドレイン電流が流れ(IDss)、

ある負の電圧(VTH)以下になると流れない。

実測してみるとかなり低く(−2Vくらい)してもわずか流れるのだ。

データシートを見ると(記載があるものでは)ID=10μAのときのゲート電圧をカットオフ電圧(しきい値)VTH としている場合が多い。

私も実測するときにはそれを採用している。

さて、MOSFETではゲートに正電圧をかけることができる、というよりエンハンスメント型の場合は正電圧をかけなければドレイン電流は流れない。

しきい値が負のMOSFETでもゲートに正電圧がかけられるのだ。

2SK241 のデータシートを見ていて気が付いた。

このFETはそのタイプ、一般にデプレッション+エンハンスメント型(D+E 型)と呼ばれるタイプである。

でも、VGSをしきい値から上げてゆくとgm(接線の傾き、増幅率の計算に必要)が増えてゆく、数学で呼ぶところの「下に凸」から、ある正の値から「上に凸」に変わる「変曲点」があるのだ。

最初の図は2SK241のデータシートからのものである。

IDssによって違うのだが、大体VGS=+0.3V〜0.5Vの所に変曲点があるらしい。

そこで2SK241- GR を一つ測り直してみた。

私の測定器ではゲート電圧は

- 2.5V〜+0.5V の範囲に限られるが、斜めにして眺めると、やっぱり+0.3Vあたりでカーブが変わっているのがわかる。

はた、と気が付いて、似た構造のMOSFET、2SK439 - E も一つ測り直してみた。

やはりVGS=+0.3Vあたりに変曲点があるようだ。

今日一日これで遊ぶことができた。


2SK241 の入力特性



2SK241 - GR 実測グラフ

2SK439 - E 実測グラフ