第17回「路上にだってぶら下がってるわよ!」-超音波による距離計測 | クレイン・テクノロジー|技術をもっと、分かりやすく。|畑谷成郎

第17回「路上にだってぶら下がってるわよ!」-超音波による距離計測

「宵闇に紛れてたのに、どうして見つかっちゃたの?」コウモリに捕獲された昆虫はこう考えるかもしれませんが、コウモリは光のない闇夜でも獲物を捕らえることができます。

それはコウモリは口から超音波を発し、その反射波を聞いて自分と獲物や障害物との距離を絶えず測っているからです。同じ原理で車の存在を感知しているのが超音波式車両感知器です。

超音波式車両感知器は主要な道路や交差点の周辺に設置されています。残念ながらコウモリの形はしていないのですが、写真を見ればご覧になったことがあるのではないでしょうか[1]。

ラジオから流れてくる交通情報で渋滞が何キロという情報は、この超音波式車両感知器からの情報を元にしています。お椀状の超音波送受器から地上に向けて超音波を発射し、直下の車両の有無を感知しています。直下に車両がある状態が長く続くかどうかで渋滞しているかどうかを判断します。

同様の車両感知器は「感知式信号」でも使われています。感知式信号では主道路側の信号を常に青にしておき、従道路側の信号は車両が感知された場合だけ青に変えます。これにより、主道路のスムーズな交通を実現しています。

筆者の会社の前にも夜間だけ感知式になる信号があります。たまに停止線を越えて超音波の来ないところに停止し、いつまでたっても変わらない信号を不審そうに見ているドライバーがいます。感知式信号機の下には、超音波で感知されにくいバイク用の押しボタンがあるので押してあげるのですが、ずっと気づかないドライバーも多いようです。

交通情報については、旅行時間計測端末装置というのもあって、車のナンバープレートを読み取った情報をサーバで集中管理し、2地点で同じナンバーが発見されたときの時間差から2地点間の所要時間を算出しています[2]。最近の交通情報の「○○から△△まで15分」といった案内はこれのおかげだそうです。ただ、実際に装置が動いている映像を見ると、ちょっとゾッとしますね[3]。

さて、超音波に話を戻しますと、車両感知器で車両を感知する原理は単純で、よく知られたエコー(やまびこ)という現象です。超音波を発射したあと、エコーが返ってくるまでの時間から距離を算出します。

音の進む速度は常温で毎秒約345m。超音波送受機は道路の直上約5mの位置に設置するということですから、路上に車両がなければ往復約0.03秒で路面から反射波が返ってきます。それより速く反射波が返ってくるときは路上に車両があるということになりますね。

可聴域の音より周波数が高い超音波を使う理由は、波長が短くて直進性に優れているからです。また人間の耳には聞こえないのでうるさくないという理由もあります。

超音波は数m程度までの距離を測る用途に多用されています。車の車庫入れ時の衝突防止のクリアランスソナーや[4]、工業プラントではタンク中にどれくらい液体が入っているかを測る液面検出の用途に使われています[5]。また、気象庁は超音波を使って積雪の深さを測定しています[6]。

今回は超音波の反射の単純な応用に絞って紹介しましたが、次回は超音波が医療分野でどのように利用されているかについて紹介したいと思います。

<関連リンク等>
[1]超音波式車両感知器
http://www.utms.or.jp/japanese/cont/syusyuu/index2.html
[2]旅行時間計測端末装置
http://www.utms.or.jp/japanese/cont/syusyuu/index6.html
[3]自動車ナンバー自動読取装置
http://www.ories-c.co.jp/service/num_1.html
[4]クリアランスソナー
http://publish.carsensorlab.net/terms/_4476.html
[5]液面検出
http://www.sensor.co.jp/switch/jiten/chouonpa01.html
[6]気象庁 超音波式積雪計
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/e1.htm
○ 関連キーワード:エコーロケーション、Nシステム、ソナー