『ビストロ三軒亭の謎めく晩餐』　斉藤千輪　　角川文庫

229p

三軒茶屋にある小さなビストロ。来る人の望みを叶える魔法のような店。料理は本格派、サービスは規格外。どんな事情の客も大歓迎。――ここ『ビストロ三軒亭』には、お決まりのメニューが存在しない。好みや希望をギャルソンに伝えると、名探偵ポアロ好きな若きオーナーシェフ・伊勢優也が、その人だけのオリジナルコースを作ってくれる、オーダーメイドのレストランなのだ。ひと月ほど前までセミプロの舞台役者だった神坂隆一は、姉の紹介でこの店のギャルソンとして働くことに。個性豊かな先輩ギャルソンたちに気後れしつつも、初めて挑んだ接客。だが、担当した女性客が、いろいろな謎を秘めた奇妙な人物であることを、隆一はまだ知らずにいた……。美味しい料理と謎に満ちた、癒しのグルメミステリー。
１～アントルコート～　奇妙な客の荷物と残した料理から、シェフが謎の真相に迫る。
２～ダンドォーマロン～　スペシャルな七面鳥の栗詰めで、店内で起きた事件を解決！
３～ラクレット～　チーズたっぷりの試食会にやって来たのは、なんと3人の魔女？
４～キッシュ・ロレーヌ～　シェフがなぜか作れない料理、キッシュに隠された秘密とは。

初めての作家さんです。

ほぼジャケ買いしてしまいました。

もし近くにこんなお店があったら良いなと感じました。

登場人物が個性豊かです。

ただその特徴を把握するのには少し時間がかかりました。

お料理も美味しそうですが、時々奇抜なメニューも出て来ます。

ちょっと苦手な食材もあったので、なかなか攻めているところもあります。

最近料理と謎というかミステリーの組み合わせが多いのですが、一見似ているようでも料理のジャンルや解決方法、何より登場人物の性格や外見が異なるので、どれも別物として楽しむことが出来ます。

この物語はギャルソンに特徴があり、まるで執事かホストのような振る舞いをします。

お客さんがギャルソンに求めるものも異なるはずなので、こういう対応は案外実社会でも面白いのかもしれませんね。

この物語の中で、一つ印象に残ったシーンがあります。

それはセミプロの役者だった神坂隆一が、役者を続けるかギャルソンを仕事とするか迷うところです。

彼はそこそこ大きな舞台に立ち、役者として歩んでいたのですが、劇団が解散して路頭に迷います。

そういった日々の中でオーディションに落ち続け、ワークショップを受けるようになるのですが、そこで自分はもちろんのこと当時所属していた劇団の主催者までコテンパンに酷評されて、怒りから指導者にあらぬ態度をとってしまいます。

彼は演技に自信があったのです。

でもあることがきっかけで、本当に俳優でいたいのか自問自答するようになります。

結局彼が取った道は何だったのかはここでは伏せますが、他人事ではないなと感じてしまい、ちょっと身につまされました。

とても優しくて温かいストーリーだったので、現在3巻まで出ているし、先も買おうかなと検索していたら、何とこの本がKindleunlimitedに入っていて、今なら無料で読むことができるのです！

でも元々紙の本が好きだし、読んで面白かったので少しばかり残念でしたがそこはまあ良いとしましょう。

それよりも講談社特集で読みたかった本がたくさんKindleunlimitedに入ったので、ブックマークをつけて読もうとしていたのですが、それらが全部無料期間がすぎてしまい有料になっていました。

なぜもっと早く読まなかったのか。

そこが残念で、紙に限らず本はやっぱり一期一会です。

まあ全部読むとなると1日に２〜３冊ペースでないと間に合わなかったので、焦らずお金を貯めて紙ベースで読んでいくことにします。

あっでも電子書籍も便利です。

両方とも活用しながら、素敵な本に巡り会いたいです！