東京にいる時は毎日が同じ事の繰り返しで、夫と二人になってしまったら会話もほとんどなくなってきている。
政治にしか興味のない夫と、政治嫌いの筆者との、共通の話題は愛犬マックの事だけ…
犬がいなくなったらどうなってしまうのだろうと思っていたら、その愛犬がこの夏死んでしまった。
世間一般よくある話だが、現実問題となると人ごとではない。
あなたのお家ではどうですか?

ところが、ところがである。
ここ八ヶ岳にいると、毎日本当に話題に事欠かないのである。
都心に比べるとここは土地単価も安いので、関東に限らず関西からも移住者が多い。
敷地も100坪、1000坪単位だから、ガーデニングも農機具無しでは無理な事が解った。

住んでいらっしゃる皆さんが開拓者、フロンティアだ。
朝早くから庭で仕事をしていると、散歩の人たちが声をかけてくれる。手を休めて立ち話をしていると、すぐ4~5人集まって来る。
都会だと人の噂話になるところだが、ここは違う。
何たってフロンティアの集まりだから、それぞれの豊富な知識の交換会議になる。
バラの水やりが大変だと言えば、水がなければ根が自分で水脈をみつけて伸びていくから大丈夫…
草取りが大変ですと言えば、その草が日陰を作り土が乾燥しない、雑草も役をもっているんです…と、発想が素晴らしい。
ご近所に蜂の巣が見つかったからと見に来てくださる。
牧草刈りをしていると、油が残っているからと二時間もかけてエンジン付きの草刈り機で刈ってくださる。
通りすがりに「この花きれいですねー」なんて言うと「これある?これもどお?」とビニール袋に根ごと沢山入れてくださる。
なーんて皆さんいい人たちなんだろう。
都会だと立ち止まってよそ様のお庭など見ていたら不審者と間違われる。
 
ここでは「お近くですか?」とさりげない挨拶からガーデニングの会話が始まる。

八ヶ岳の生徒さんのお宅にお邪魔した時の話。
お庭に素晴らしいアトリエがある。
でもそれよりも素晴らしかったのはご主人様の物置きだ。
見たこともない「農機具」が整然と壁にかけてある。
もう釘ずけ状態、魅入ってしまった。
声をかけられ、美味しい手作りケーキをご馳走になった。
帰りにもう一度、「農機具」を見せていただいた。
「こんな熱い目で主人の物置きを見た人は初めてです。」とお誉めのお言葉?をいただいた。

筆よりシャベルの方が私に合っってる、とその時確信した。