皆さんに一つ質問です。
「皮漉機(かわすきき)」 と聞いてどんな物を思い浮かべますか?
全く革の知識が無い方でも、なんとなく言葉の感じから
「革を薄くスライスする機械」
というのは思い浮かびますか?
ご名答!その通りですヾ(@°▽°@)ノ
革業界(靴や鞄業界)では専用ミシンとこの皮漉機は必須アイテムです。
情けない話ですが、私は皮漉き機を持っていませんでした(ノ_-。)
しかしながらこの度、念願かなって皮漉き機を当工房にも入れることになりました(*゚ー゚)ゞ
じゃ、今までの商品は漉いてないのかよ!!欠陥だぁ!!
などと言われたくないので言っておきますが、漉き加工の必要な箇所は手漉きで加工しております(・ω・)/
ご安心をo(^-^)o
手漉き、というのは革を切るための 「革包丁」 を使って職人の目と手の感覚を頼りに革を薄くする技術です。職人の技というやつです・・・ええ、もちろんちょっとカッコつけて言っています(笑)
でも正直に言いますが、漉機を手に入れることよりも手漉きすることのほうが難しいですよ!!
・・・多分ね(笑)・・・・技術どうこうよりも革包丁の磨ぎ具合かな。
まぁそんな話は置いといて・・・漉機の話を。
題名を見てもらったら分かるように、この漉機にはもう名前が付いてます。
プリンス
真面目に考えた末、こうなりました(笑)
だって以前紹介した当工房のミシンの名前は 「マイケル」
(ちゃんとした意味があるので、知りたい方はこちらを読んで!)
ならば、その後に導入された漉き機の名前は・・・マイケルの息子、プリンスでしょ!!
しょうもなッ(`Δ´)・・・って思うかもしれませんが、実はこの名前、あながち間違ってないんですよ!
その理由は最後に。。。
ではお待たせしました、お披露目の時間です(*゜▽゜ノノ゛☆
この度、当工房に導入されることになりました皮漉機のプリンス君です!!
・・・えッ?・・・・プリンス!??
・・・・名前のわりに老けすぎ!!∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
この漉き機はご高齢の職人さんが引退されるのを機に道具を手放す、という話が回りまわって僕のところに舞い込んできたって感じで、その時はテンション高く喜んでいたのですが・・・
受け取りに行った当日も内心 「自分でいいのかな?」とか思ってて・・・実は工房に運び入れた今でも 「自分のもの」 とは信じられていないような心持です。
なにか、先輩の大切な道具をお借りしている感じ。
なんとなくこの感じわかりますか??
職人さんが何十年も使い続けてきた道具を、理由はどうであれ手放す・・・
それをただもらうのではなくて、受け継ぐ感じ。
お金で購入するのとは訳が違う。
その緊張感が今もあるのですが、使っていくうちに馴染むかな(^~^)
漉き機を受け取りに行った日の晩、紹介していただいた職人さんから携帯に連絡があって・・・
「職人さんや道具は人を選ぶから、譲り受けるような話はそんな簡単には回ってこない」
という話をその職人さんの先生が言っていたそうで。
だから、この漉き機のプリンス君は当工房に来るべくして来たのだと。
大切に使ってくれそうな人のところにしかそういうものは来ないのよ。・・・・と。
完全に私の心は見透かされていましたσ(^_^;)(笑)
・・・で、翌日・・・その言葉を糧に、分解してメンテナンス。
ジャンク屋クラウドの開店です( ̄▽+ ̄*)
ミシンと違い、間近で漉き機を見ること自体初めてで構造に馴染みが無いので、勉強がてらほとんどの部品を外して、もう一度組み立てました(・ω・)/
ミシンよりも構造は簡単だわ(´0ノ`*)
でもミシンと違って付属の専用工具が必要なのが難点。
中古購入の際は、刃の状態とかよりもこの工具が一式揃っているかのほうが重要かもしれません。
もちろんプリンス君には専用工具一式、綺麗に揃っていましたので難なく分解します(^∇^)
これがプリンスの刃。丸刃になってて回転することで革を削ります。
下の写真は革を自動的に刃の方向に送る装置、通称 「ビア樽」。分解するとこれだけのパーツになります。
このボルトはただ固定するだけのボルトじゃなく、漉く厚さや角度などの調節用のボルトです。
このボルトが動かなくなったりすると大変なので、しっかり掃除しとかなくちゃo(^-^)o
重要なギア部分は油のかたまりを綺麗に取って、新しいグリスをたっぷり付けてメンテ完了!
メンテしているときに気がついたのですが、このプリンス君の正式名称が本体に書いてありました・・・
「ニッピー 皮漉機 NP-1」
ニッピーは今でもある皮革用重機の会社です。現在はなぜか 「ニッピ」 に改名しています。
ニッピコラーゲンとは別の会社(笑)
ちなみにニッピコラーゲンは皮革販売もしています。社名は 「NIPPI」 だったかな・・・当工房の革もニッピの革を使っているときもあります。
それと、皮漉機の「皮」の字。
本来なら「革」のはず・・・でも漉機に関してはなぜか「皮」の字を使います。。。時代のせいかな?
こんな疑問を持ちだすと、さらに気になるのが 「漉」 の漢字。
「薄く切る」 用途の機械に 「紙漉」 の 「漉」 を当てる。まぁ雰囲気が伝わるからいいんですけど。
「紙のように薄くする」 = 「(薄い)紙を漉く」
と繋がってるんでしょうね(o^-')b
そして品番・・・NP-1
中古販売ではこの 「NP-1」の改良版の「NP-2」、比較的新しい「NP-201」と「NP-202」が主流。
要するにうちのプリンス君はニッピー皮漉機の初代型。
それまでの皮漉機がどんなものだったかは知らないですが、NP-1発売当時は
「漉機界のプリンス登場!!」
的な扱いをされていたのではなかろうか・・・と、うん十年前に思いを馳せつつ・・・大切に使います(^-^)/
この一台の皮漉機の話を頂くにあたり、多くの職人さんにお世話になりました。
また改めてご挨拶に伺いますが、取り急ぎこの場を借りて御礼申し上げます。
本当に有難うございました!!


