この頃、パイロットホームの方々とのお付き合いがある。


パイロットホームとは、高洲団地のすぐ近くに位置する9棟からなる団地なのだが、その昔、海浜ニュータウンを埋め立てて住宅地を計画する際、集合住宅の生産技術を開発するためにコンペが開催され、その競技に勝った9社のゼネコンが1棟ずつ建設した住棟群である。だから、9棟はそれぞれ形も工法も違っていて、当時としては最新技術のオンパレードだっただろう。



事の「始まりは、そのパイロットホームの新任住宅管理事務所長さんと、ある棟の理事さんが連れ立ってNPOの事務所にやってきたことだった。当時花形だったとはいえ、30余年もすれば、高齢化が進む。高齢化するのは住む人も建物も同じだ。

ある棟のご老人宅で、倉庫のドアノブがスムーズにいかなくなり、開け閉めが億劫になったので、ある業者にみてもらったところ、3万円との見積り・・・・・・・たかが倉庫のドアノブに3万はないだろう、しかも同じような状況がその棟の他住戸でも起きており、一人の問題ではない。そこで、NPOのうわさを聞きつけ、相談にきた、というのだ。


こういった出来事は、パイロットホームだけでなく、この古い団地内では日常茶飯事の問題ごとなのだが、

ドアノブは30年のうちに改良され、同じ型番は廃盤となっていて、流通していない。そこで代替品を取り付けるしかないのだが、代替品には、ビスピッチやらフロントのサイズやら鍵穴のサイズやら、まったく同じものが存在しない場合が多い。そこで、ドアに工作を加え、ビスの位地、穴の位置を変更する。元の穴はふさぎ、新たに開口するのだ。しかも当時のドアだから鉄製で硬い。

私の少ない経験からもそんだけの作業が必要そうなことは容易に想像でき、そう考えると、材料費と工賃を加え、古さというリスク、職人一人が動くことを考えても3万という額はまぁ、妥当な金額じゃないかな。そんな感覚だった。


が、そこはK西さん。頼ってくる人は決して見捨てない。

その依頼を受け、さっそく鍵の品番を洗い始めた。

業者のなかには、同じ品があるにもかかわらず、あえて違うものに取替え、手間のかかる作業を行い、工賃をふんだくる、という悪事を働くものも多いらしい。それも、大手に食われ、生き残りをかける弱小の業者も食うために必死なのだそうだが、でもそれは詐欺だ。


結果から言うと、今回の件はそんなことはなく、確かに同等品は存在せず、結局鍵穴に工作が必要で、私たちも少し苦労してしまったのですが、やっとの思いで鉄ドアへの工作が終わり、ドアノブを取り替えたところで、相変わらず開け閉めはあまりスムーズにならない。。

結局、試行錯誤の果てに、原因が違うところに見つかった。

それは、兆番でした。

しかも、調整するだけで問題解決。


でも、K西さんの誠意は相手にも伝わっているし、何よりも、そのおかげでパイロットホームの方々との付き合いも生まれた。









リフォームというのは、その性質上、やってみなければ分からないことが多い。

築年数の長いものはそれだけリスクも高い。

しかも、熟練の職人であり、簡単に解決する方法を知っている者ほど工賃はもらえない、という状況が多々ある。

そんな状況が、悪徳な業者を生む原因にもなっているのかもしれない。



自分が業者の立場に立ってみると、そんなことが見えてきた。



工賃なんかを設定していくには、もう少し見る目を養っていきたい。