紅海での混乱でタンカーが相次ぎ航路変更、エネルギー部門に波及


 







[ロンドン 15日 ロイター] - カタールが紅海経由の液化天然ガス(LNG)輸出を一時停止したほか、少なくとも6隻の原油タンカーが新たに紅海の航行を回避するなど、海運の要衝である紅海での運航の混乱がエネルギー分野に波及し始めている。
米軍による短文投稿サイトのX(旧ツイッター)への投稿によると、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が発射した対艦弾道ミサイルが15日、米国が所有・運航を手掛けるマーシャル諸島船籍のコンテナ船に直撃。ただ負傷者や大きな被害はなく、コンテナ船は運航を続けているという。

フーシ派はこれまで、イスラエルの船かイスラエルに向かう船だけを標的にするとの見方を示してきたが、今回の攻撃で標的が拡大する可能性がある。
このような不安定な状況下で、世界最大級の液化天然ガス(LNG)輸出企業であるカタールエナジーは紅海経由の輸出を一時停止。関係筋によると、生産は継続しているが、週末にかけて少なくとも4隻のLNGタンカーの運航を停止した。


また、ロイターはLSEGとKplerの船舶追跡データを利用し、15日に少なくとも6隻のタンカーが進路を変更したと確認。米軍主導の最初の攻撃以降、少なくとも計15隻が進路を変更した。紅海ルートを回避する船舶は今後も増えるとみられている。
同地域では14日、フーシ派支配地域から紅海南部で活動していた米ミサイル駆逐艦ラブーンに向けて発射された対艦巡航ミサイルを米戦闘機が撃墜したと米中央軍が発表している。
LSEGのデータによると、欧州のベンチマークガス市場であるオランダのTTFハブにおける欧州の基準ガス価格期近物<TRNLTTFMc1>は15日午後の取引で1.94ユーロ安の1メガワット時当たり29.66ユーロとなった。
アジアのスポットLNG価格<LNG-AS>は先週末12日、100万英国熱量単位(mmBtu)当たり10.10ドルと7カ月ぶりの安値を付けた。

原油価格は15日、1%超下落。中東での紛争が原油生産に与える影響は限定的との見方から利益確定売りが優勢となった。原油価格は先週2%上昇していた。