オレの仲間は
恋の季節をむかえて
町内を歩き回っている。
オレは
チビスケ姉さんに思い焦がれ
網戸ごしに胸キュン
したこともある。
チビスケ姉さんは
飼い主のトヨさんと常に行動
しているという噂だ。
誘われると胸キュンは出ない。
仕方ない。
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一方、
ご主人様は
ソワソワおめかしして
出かける準備をしている。
ご主人様の癖で、姉上様が笑っても
止めても季節に合わない服を着る。
外に出た途端、風が体を吹き抜けたようだ。
今夜はご主人様の元同僚ピヨちゃんの
ウエディング・パーティ。
ご主人様が58歳の時、派遣で入社した。
小さな体でよく働き、よく笑い、よく気配りし
アイドルになった。
ある日突然、
ご主人様はピヨちゃんに呼び付けられた。
鼻の穴をふくらませたピヨちゃんは
わあーい‼️私、イケメンを発見した。彼よ❣️
指差す先のさわやかな彼に58歳のご主人様は
乙女のように胸がキュン、キュンした。
2人はしばらくぼうぜんと眺めていたが
我にかえると同時にファンクラブを結成した。
そんなピヨちゃんが結婚した。
相手はさわやか君ではないがまじめに婚活し
理想のパートナーに巡り会えた。
さわやか君はパーティにやって来た。
ご主人様は胸キュン、キュンだ。
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その頃、
オレと姉上様は
ご主人様の帰りを待つ。
姉上様はオレを睨み
クロスケは
どこに座っているのかなあ?
聞かなくとも見れば分かるだろ!
クロスケのお尻の穴は
どこに当たっているのかなあ?
分かりきっているだろう!
私の頭はどこに置くのかな?
・・・
オレは退散する。
ご主人様は威勢よく
玄関を開けて上がってくる。
機嫌が良い足音が聞こえる。