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◆管理会計の実務のなかで私が教えられたこと。◆


(1)「目的」と「手段」を見誤ると失敗する。

(2)「管理会計実務は各社各様。統一的なものはない。」

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(1)「目的」と「手段」を見誤ると失敗する。

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◆「製品1個あたりの原価を知りたい」とA社長。

 「何のために知りたいのですか?」

 「そう言われても・・・」「でもその位のことは経営者として知っておくべきでは・・・。」

 「では、手間ひまかけて把握した原価情報を具体的に何に利用しますか?」

 「・・・」

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●A社長は、製品1個あたりの原価を知ることを「目的」にしてしまっている。

ではこのままA社長の要望どおり進めたらどうなるであろうか?

a)製品1個あたりの原価を知ることが目的である。
⇒計算結果が出たらそれで目的が達成されることになる、
⇒したがって、その原価情報が活用されることはない。

b)上記に反して、仮にその原価情報を活用しようと試みたとしても、
⇒活用目的に合致する保証はない。
⇒合致しなければ、別の仕組みを作り直さねばならなくなる。

いずれにしてもうまく行かないであろう。

この事例に限らず、同様の失敗を管理会計ではよく見かける。


●これは、「目的」と「手段」を見誤ったことによる失敗である。

製品1個あたりの原価を知ることは「手段」であり、「目的」はもっと先にある。

例えば、製品の売価算定という目的、原価低減という目的・・・。
原価情報という「手段」を用いて、売価算定すなわち得意先との価格交渉という「目的」に活用する、
実際原価情報という「手段」を用いて、目標原価に近づけるすなわち原価低減「目的」に活用するなど。

こうは言っても、何も原価情報の把握に反対しているわけではない、
目的を明確にしたうえで行うのはもちろん有益である。

しかし、【「目的」がないのに「手段」だけあっても意味がない。】


●ただ、ややこしいことに【財務会計】は管理会計とは事情が異なる。

財務会計は、外部に報告することがそもそもの「目的」であるから、会計基準(「手段」)に準拠して財務諸表を
作成しさえすれば事足りてしまう。

そのため「目的は何か」などと考える必要がない。

管理会計も同様だと勘違いしてしまい、目的云々を考えずに行動してしまうことが、よく見かける失敗のパターンといえよう。


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(2)「管理会計実務は各社各様。統一的なものはない。」

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●上記(1)で、管理会計には各々「目的」があって、それぞれに応じた「手段」があると述べた。

となると、
会社によって「目的」とするところは異なるのだから、「手段」たる管理会計も会社ごとに異なるはず。

したがって、
【管理会計実務は各社各様で統一的なものはない】
といえよう。

さらには、同じ会社であっても
・時期
・外部環境
などによって、
「目的」は逐次変化することから、その都度「手段」たる管理会計も変わってくる。

すると、上の結論は拡張されて、
【管理会計実務は、会社が異なればもちろんのこと、時期や外部環境が変わってもそれぞれ異る。】


●私の失敗談だが、数年前に「管理会計パッケージソフト」開発に取り組んだことがあった。

世の中に財務会計パッケージソフトの管理会計オプションなどはあるが、
私はもっと積極的に、「このソフトを使えば会社が儲かる会計ソフト」があるはずだと考えた。

販売管理システムは売上アップにつながる。
生産管理システムは生産性アップにつながる。
それなら、
会計管理システムは利益アップにつながるはずだと。

しかし、管理会計が各社各様なことに気付いたため、汎用パッケージ化は無理と判断した。


●当初は、「パッケージソフトを完成させれば一つで多くの経営者のお役に立つことができる」と考えたが、
パッケージソフト化が無理だと判断した後は、元どおり会計事務所業務に専念することにし、

管理会計については「一社ずつ、マンツーマンの」サポートを行っている。

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◎次の経営課題A,Bのうち、管理会計が対象とするのはどちらでしょう?

A「既存事業が衰退気味なので、新規事業を育成して、事業構造の転換を図りたい。」

B「従業員にとって働き甲斐のある、活き活きとした会社へと体質改善したい。」

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<経営課題Aについて>
 新規事業を立ち上げて育成していくためには、夢やロマンといった右脳的なものが重要なのはもちろんです。
特に事業構造を転換するほどの重要な新規事業となると全員の熱い想いが欠かせません。

 その一方で、左脳的な「数字による管理」も重要です。

 具体的には、これから新事業をスタートして、X年後に主力事業に育て、
以後Y年間にわたっていくらいくらの利益を見込む。
その際、初期投資にいくら必要で、資金調達はどうするかなどといった計画を立てる。

そして計画したとおり進んでいるかどうかをチェックして早めに手を打つ。
この計画・実行・評価・アクションの管理サイクルです。

 「数字による管理」の甘い「成行経営」ではこれからの時代を生き延びてはいけません。

 本課題は「数字による管理」を必要とすることから、明らかに管理会計対象です。

 

<経営課題Bについて>
 最近、組織活性化や人材能力開発に関する本・セミナー・コンサルを多く目にします。
それだけこの課題に対する経営者の方の関心の高さをうかがわせます。

 組織を活性化させるには。

 リーダーシップなど「経営者の人間性」が重要なのは確かです。
社長や上司が魅力ある人ならだれしも仕事に対する意欲が涌いてくるでしょう。

 一方、この人間性という要因に対して、「制度設計」という要因があります。
「制度設計」とは、【社員を自然にヤル気にさせる仕組み作り】です。

 「制度設計をうまくやれば」組織の活性化に繋がります。
必ずしも先天的に人間味あふれた人でないと経営者としてダメというわけではないのです。
逆にこの「制度設計を誤ると」社員のヤル気も削がれてしまいます。

 例えば、予算編成の際によくある問題点ですが。
営業担当者は上司に来期の売上目標をいくらで申告するか?
多く申告すると達成できない可能性が高まることを恐れて当初は低く申告する。
しかし上司は納得せずもっと高い目標を要求する、こうして両者の間で延々と交渉が行われる。
私も以前IT企業にいたときは営業マンでしたので、毎年このような不毛な議論をしていました。

 どこに問題があるのか? 
べつに営業担当者が悪いわけではない、上司でもない、
「制度に問題がある」のです。

そうであれば、【制度を改善すれば弊害を克服していけるはず】です。


 「業績管理」というのは管理会計の主要なテーマです。
その業績管理は、経営意思決定の進捗管理というだけでなく、
【社員の能力を十分に引き出すためのツール】でもあるのです。

ですからこの課題も管理会計の守備範囲です。

このようなテーマは私も大いに関心があります。

難しいテーマではありますが、【若い従業員の将来のため】です。
いっしょに挑んでいきませんか?



新入社員A君  「当社は経理部員4人で一年中経理処理をやっていますが、なぜこれほどの手間ひまをかけて行う必要があるのですか?」

社長    「税金の計算を正しく行うためだよ。」

A君 「経理部4人分の人件費・経費を考えたら税金の計算のためだけというのはもったいないのではないでしょうか?」

社長 「何を言っているんだ、税金を正しく計算し申告することは税法上の義務なんだ。そのために決算書も正しく作らなければならない。当初は伝票枚数が多いから人数も4人必要なんだ。」

◆今日、経営者の「会計力」が問われている。

数字の読める経営者、会計リテラシーの高い経営者というものが要求されている。本屋へ行けば「会計本」がたくさん並んでいる。

●会計というものは、利益を測定するためのものである。

いくら販売管理をきちんとして売上を正確に把握しても、販売管理だけでは費用までは把握できないため利益には至らない。

生産管理も同様で、会計まで持ってこないと利益は把握できない。

したがって、利益というものを管理しようとすれば会計が必須になる。

●会計は、経営管理にとって重要な役割を果たすものである。

○そもそも会社というものは、資金を運用して、商品・製品・サービスを提供することによって資金を増やしていく活動を行うところである。

○資金を何に運用するか、すなわちどの事業に力を入れるかは、経営上の重要な意思決定である。

そして、運用のためには調達がなければならない、ここに会計が活きてくる。

したがって、経営意思決定を行う上で会計は重要な働きをする。

○さらに、意思決定をした後は、決めたとおりに進んでいるか見たくなるだろう。会計は決めたとおりに進んでいるかの管理(業績管理)のためにも重要である。

○これらの会計は、税務など制度で義務付けられているものとは異る。

そこで、制度会計と区別して管理会計と呼ばれる。

●管理会計ツールは汎用的に適用できるものは少なく、ケースバイケースで有効なツールが異なると思われる。

むしろ、経営者の方が考えに考えた結果独自のやり方を考案し、経営に活かしたものの方が有効であろう。

あの京セラのアメーバ経営などが代表例だ。

■新入社員A君が疑問に思ったように、会計を単に税務申告のためだけに行い利益管理や経営管理に活用しないというのではあまりに【もったいない。】

会計は前向きに経営に活かすべきである。

■会社の利益の原因はどこにあるか?

今の強みを活かして、これからどの事業・商品に力を入れていくか。

それには資金をどう運用すべきか?

また、資金をどう調達すべきか?

いっしょに考えていきませんか。