第六章 損益会計
B☆期間利益に対する2つの考え方
☆当期業績主義期間利益を経常収益力を示す利益であるとする考え方→1.業績表示利益(正常的・経常的収益力)
→狭義
☆包括主義
期間利益を当該期間に生じたすべての収益及び費用から構成される当期の純利益であるとする考え方→1.分配可能利益(分配されても維持すべき資本が侵食されない利益=投下資本の回収余剰)2.業績表示利益(企業の長期的平均的収益力)
→広義
第七章 資産会計総論
B☆経営資本の循環過程資本が調達され、現金等の形で保有された後、何らかの財貨・役務の購入に充てられ、ソレが費消されて、収益により回収されるプロセス→資本投下過程前後の資産である貨幣性資産は基本的に回収可能価額で評価、営業過程に投下された資産である費用性資産は、取得原価主義で評価
A☆金融資産と事業資産外形的性質により金融資産と非金融資産に分類。非金融資産のうち、事業投資を目的とするものを
事業資産
A☆取得原価主義の意義
資産を取得時の支出額に基づいて評価する考え方第三者間取引は通常等価交換であるので、取得時支出額は、通常、取引時の資産の公正価値を表す
B取得原価主義の評価原則の特徴
1.支出額により評価
2.保有損益の非計上
3.取得原価をもとに費用化時の費用額を測定
A☆取得原価主義の論拠
1.未実現利益計上阻止資産保有過程における評価益は単なる時価変動により生じる未実現損益であるため、実現主義の基では当該評価益は損益計算から排除すべき
2.測定値の客観性と検証可能性資産価額を実際の第三者との取引における価額に基づいて測定→客観性確保資産価額の正当性を会計証憑により確認可能→検証可能性確保(その他:実行可能性と費用対効果)
B☆費用配分の原則の意義いずれ費用となるべき支出額を次期以後の基幹に配分する手続きを支える根本思考
→過去に認識された取得原価を、その経済的価値の減少に応じて、発生主義により費用化していく過程を指す→資産から費用への転化を根拠付け、その後、期間費用を決定するのが費用収益対応原則
B☆時価主義と割引現在価値
☆時価主義意義:資産評価時点での市場価額又は経済的価値に基づき評価する考え方論拠:債権者保護目的とする場合、債務支払能力や資産状況が有用な財務情報短所:客観的な市場価格の不存在や実現主義との関係
☆割引現在価値意義:資産から得られる将来の現金収入額を一定の割引率で割り引いた現在価値の総額で資産評価する考え方論拠:経済的便益を資産の本質とするなら、将来獲得されるであろう収益の割引現在価値で評価短所:割引率の決定に経営者の主観、資産は多数のものが集まってはじめて企業活動上意味を持つ
第八章 棚卸資産
B☆先入先出法最も古く取得されたものから順次払い出し期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなる、とみなして、期末棚卸資産価額算定
C☆現金割引の会計処理
1.財務収益とする方法論拠:1仕入れ代金の早期決済という財務努力成果&2現金割引制度の非普及2.財務費用とする方法論拠:1掛代金には代金決済遅延利子分が含まれているので、現金正価で取得原価決定後、現金割引非適用時に資金利子分を財務費用2資金的裏付け
B☆後入先出法最も新しく取得されたものから順次払い出し期末棚卸資産は最も古く取得されたものからなる、とみなして、期末棚卸資産価額算定
B☆先入先出法と後入先出法の比較
先入先出法
1貸借対照表価額が最近の再調達原価価額の水準と比較的近似
2保有損益を期間損益から排除不可能
後入先出法1貸借対照表が再調達原価と大幅に乖離する可能性2保有損益を期間損益からある程度排除可能(食い込み時を除く) B☆後入先出法の廃止1.貸借対照表価額が最近の再調達原価の水準と大幅に乖離する可能性2.購入料調節により保有損益を意図的に損益計上可能3.食い込み時に累積した過年度の保有損益だけがまとめて計上4.一般に棚卸資産の実際の流れを忠実に表現していない5コンバージェンス
第九章 固定資産
B☆自家建設に要した借入資本利子の取り扱い
☆利息のあるべき会計処理
1費用の期間配分の観点利息は時の経過により生じるので、時の経過に伴い発生した期の費用として計上すべき
2費用の表示区分の観点
利息は財務活動により生じるので営業外費用☆利息を原価参入した場合
1時の経過と無関係に減価償却により費用配分
2減価償却に含められ、営業費用
A☆交換による固定資産の取得
1同一種類同一用途譲渡資産に対して当初なされた投資は、未回収で交換取引後も投資の継続性が認められる→譲渡資産の適正な簿価をもって取得原価
2同一種類同一用途以外譲渡資産への投資は一旦回収され取得資産に新たに資金投下、投資の継続性は認められない→譲渡資産の時価をもって取得原価
B☆贈与(不等価交換)あるべき→0不都合→企業間比較可能性
結論→時価等を基準とした公正な評価額
A☆減価償却の意義と目的意義:有形固定資産の原価を使用できる各会計期間に、/あらかじめ定められた一定の計画にもとづいて、/計画的・規則的に配分するとともに、/一定額だけ資産価値を減少ささせていく会計手続き目的:有形固定資産の経済価値減少の具体的把握困難。一般に有形固定資産はその全体の用役をもって経営活動に役立つものであって,除却するまでの会計期間における減価を個別具体的に把握不可能。そこで適正な期間損益計算の見地から、その減価を仮定し恣意性が介入しないように計画規則的に費用配分遂行(正規の減価償却)
AA☆減価償却方法の変更1減価償却方法の変更は、会計方針の見積りの変更に該当するという考え方減価償却方法→減価償却を認識するという会計方針を適用する際に使用する方法その変更→資産に具現化された将来の経済的便益の予測消費パターンの見積もり変更、即ち、会計上の見積りの変更に該当
2減価償却方法の変更は、会計方針の変更固定資産の取得原価の配分方法として定率法定額法などの一定の計画規則的方法があることを所与とし、その複数の方法の中での選択の問題として捉える3減価償却方法自体は会計方針を構成するが、その変更は、会計上の見積りの変更と同様に取り扱う両者を区分することは時として困難であり、将来の経済的便益の予測消費パターン変化したとの判断に伴い、当該パターンをより良く反映するために減価償却方法を変更することは、会計方針の変更によりもたらされる会計上の見積りの変更
B☆無形資産の論点整理:無形資産の定義と認識要件定義:識別可能な資産のうち物理的実体のないものであり金融資産でないもの認識要件:経済的便益をもたらす蓋然性&取得原価の測定可能性
A☆のれんの意義と計上制限・測定ある企業の平均収益力が同種の他の企業のソレより大きい場合、その超過収益力の原因→有償取得の場合(買入れのれん)に限定
B☆臨時償却固定資産が機能的に著しく減価した場合に、この事実に対応して臨時に行う減価償却プロスペクティブ方式当初の見積がその時点の実態に適合→過年度の計算は無修正で適正キャッチアップ方式
固定資産の耐用年数にわたり一貫した仮定に基づいて計画規則的に実施されることで妥当性確保
B☆臨時償却(キャッチアップ方式)廃止1実質的に過去の期間への遡及適用と同様の効果をもたらす処理は、あらたな事実の発生に伴う見積りの変更に関する会計処理としては不適切2コンバージェンス3耐用年数の短縮は収益性の低下を伴うことが多く、減損処理の中で両方の影響を含めて処理可能4将来生じる除却損の前倒しになる
第十章 繰延資産
B☆繰延資産すでに対価の支払が完了し又は支払い義務が確定し、これに対応する財貨を費消し又は役務の提供を受けたにも関わらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待されるため、その支出額を効果が及ぶ将来期間に費用として合理的に配分する目的で、経過的に貸借対照表に資産として計上された項目
特徴:既費消既支出項目であり、財産的価値(換金価値)なし
A☆株式交付費の会計処理
1資本直接控除
株主交付費を資本取引から付随する取引から生じるとの考え
2費用として処理
株式交付費を損益取引から生じるとの考え
1.交付費の支出自体は資本取引でない2.資金調達を行うために要した支出額であり、財務費用としての性格強い3.資金調達に要するコストを業績に反映させ資金調達意思決定の良否を観察可能に
第十一章 研究開発費
AA☆研究開発費についての会計処理の検討
1すべての研究開発費を資産計上発生時には将来収益獲得能力不明で研究開発が進み将来収益獲得期待高まったとしても依然としてその獲得は不確実→すべての研究開発費を資産計上した場合、損失の繰り延べとなるおそれ
2条件付資産化法実務上客観的判断可能な具体的資産計上要件の規定困難であり抽象的要件では企業間比較可能性が損なわれる3すべての研究開発費を発生時費用処理研究成功時に研究成功により獲得された収益とその貢献努力が非対応B☆市場販売目的ソフトウェア制作費の会計処理
1.研究開発新知識具現化までの過程。製品番号を付す等により販売の意思が明らかにされた製品マスター(最初に製品化された製品マスター)完成までが研究開発活動
2.機能維持
将来収益獲得に貢献しない→発生時費用
3.機能改良強化
将来収益獲得に貢献→資産計上
4.著しい改良著しい改良が終了するまでは研究開発の終了に達していない→研究開発費
B☆市場販売目的ソフトウェア資産計上区分無形固定資産の区分に計上1.それ自体が販売対象物でなくこれを利用(複写)して製品作成2.法的権利(著作権)の存在3.適正な原価計算による取得原価の明確化
AA☆開発費の取扱い
1資産計上に肯定的な考え方
1.情報ニーズ資産性が明確である一定の開発費については、無形資産として貸借対照表に計上し、収益獲得に貢献する期間にわたって償却すべき2.収益獲得蓋然性の観点
開発に関する支出の中には、資産性が明確なものも含む
3.資産計上判断規準の観点開発費の資産計上の判断は、経営者の判断に依存する部分が大きい。しかし資産計上の有無により開発費が将来収益獲得に結びつく蓋然性についての経営者の判断が示されるため、財務諸表利用者にとり有用な情報
2資産計上に否定的な考え方1.研究費と開発費を区分して注記する等、財務諸表注記充実から検討すべき2.開発途上段階ではその収益獲得蓋然性不十分3.抽象的要件による判断規準設定は資産計上判断に経営者判断要素が大きく、企業間比較可能性を害する第十二章 負債会計
B☆引当金の意義と設定要件と認識論拠実際には未だ財貨又は役務の費消が確定しておらず、/支払い又は支払い義務の確定がなされていなくても、/適正な期間損益計算の見地から費用又は損失を見越し計上する場合に、/借方に計上される費用又は損失に見合って貸方に計上される項目
設定要件
1.将来の特定の費用又は損失
2当期以前の事象に起因
3.可能性が高い
4.合理的に見積り可能(当期に計上すべき費用であること、予測に基づく計上が合理的であること)
認識論拠
引当金繰入額については費用収益対応の原則により費用認識
A☆引当金の債務性
1修繕引当金操業停止や対象設備の廃棄をした場合には不要となるため、債務性がない2債務保証引当金
債権者との間の債務保証契約による債務弁済義務
3損害補償損失引当金
損害補償契約による補償義務
4役員退職慰労引当金
支給は株主総会承認が要件
5リストラ引当金
経営者の決定は債務を生み出さない
6有給休暇引当金
従業員との間の契約による債務
7訴訟損失引当金訴訟等により損害賠償を求められている状況は負債が存在しているか不確実性あり8環境修復引当金法がダメージ修復求めた場合や推定的債務を企業が受け入れた場合は現在の債務が発生9ポイント引当金
約款や広く周知された撤回不可能な方針等債務性あり
A☆修繕引当金の評価勘定方式1減価と修繕の関係
原因は固定資産に発生している摩耗損耗等の物理的劣化、大規模修繕により当該劣化は回復
2評価勘定方式による会計処理固定資産の取得原価のうち大規模修繕で回復が見込まれる部分については、修繕までの期間で減価するものと考え、当該期間で減価償却し、当該大規模修繕に係る支出については、減価の回復と捉え固定資産の取得原価に加算 B☆ポイント引当金
1前受金方式考慮すべき販売条件のひとつとして捉え、販売価額の一部減額と将来引き換えられる商品又はサービスの対価の前受という性格を有する
→売上高から控除し前受金として繰り延べる
2引当金方式発行したポイントの商品サービスとの将来の引き換えを、そのポイントを発行する元となった当初売上取引構成要素として取扱わず、販売促進に資する別個の取引とと捉える→収益を当初売上取引額総額で認識し将来ポイントと引き換えられる商品サービスを販売時の収益と対応させるべく販管費として見積り、引当金計上