荏原、前期決算承認を株主総会議案に 監査役の1人が承認せず

 荏原は6日、27日に開催予定の定時株主総会で2008年3月期の決算を承認議案として提出すると発表した。昨春に発覚した会社資金の不正支出事件に絡み、社外監査役の1人が同事件の調査が不十分で、経理帳簿にも虚偽の疑いがあるとして決算を承認しなかったため。通常、決算は監査役会などの承認を前提に総会で報告すれば済む事項。決算そのものの承認を株主に問う極めて異例の事態となった。

 今回の総会では、前期の損益計算書や貸借対照表などが適正かどうか株主の賛否を聞く形となる。過半数以上の賛成を得れば決算が認められる。もし否決されれば決算書類を作り直し、臨時株主総会で再度承認を求める必要がある。経営の混乱も避けられない。

 経理帳簿の虚偽の疑いを指摘して前期決算を承認しなかったのは社外監査役の大森義夫氏。


これは、かなり珍しいことだと思います。


通常は、上場企業のような大きい会社だと、

会計士が会計監査人として株主総会で提出する決算書を監査して監査意見を出します。

そして、監査役が、会計士の監査結果をもとに再度、決算が適切かを判断します。


会計士、監査役がともに、「決算は適正」と判断すると、決算書は株主総会で報告事項となります。


今回は、監査役が決算に「NO!」といったことになります。


気になるのは、「決算に対して会計士はどのような判断をしたか?」です。


仮に、会計士が「OK」って言ってたのに、監査役が「NO」と言ってたとしたら、

会計士の面目つぶれちゃいますね。。。


気になったので、調べてみたら、
会計士及び他の監査役は「適正」との意見を出しています。  

会計士が「適正意見を出している」ということは、
「決算が適正だという相当程度の心証を得た」ということを意味します。

ですから、
監査役が主張している「経理帳簿にも虚偽の疑いがある」という部分について、
適切な監査手続を行って、「高い確率で経理帳簿に虚偽はない」と判断したことになります。

なぜなら、監査役が言っている「経理帳簿にも虚偽の疑いがある」言い換えると、
「はっきり間違ってるとは言えないけど、自信もって大丈夫とも言えない」ということです。

いわゆる、「グレーな状態」ですが、この状態だと、会計士は「意見を表明しない」という対応になります。

ですから、会計士が「適正意見」を出したら、それは「それなりの自信をもってシロ」と判断したことを意味します。

なので、それに対して「NO」といわれると、会計士としてはバツが悪いですね。。。