昨日で仕事納めとなり、今年もあとわずかです。


毎年同じことを感じている気がしないでもないですが、今年は本当に色々あったな。と感じます。


一般的なニュースについては、世間であふれるほどランキングされてると思いますので、当ブログでは私の知っている範囲で、会計・経理業界の2011年ニュースTOP10を考えてみました。

(雑誌「経営財務」に先を越されました><)



第10位:たまらんね、円高


企業が2012年3月期の予算を作る際の想定為替レートも80円~85円ぐらいに設定されていましたが、あれよあれよという間に70円台後半が当たり前になってしまい、ユーロも100円/ユーロが目前です。


経営への影響としては、海外への生産拠点移管等がよくマスコミで言われますが、経理にとっては以下のような影響がありました。


・為替レートが大きく動く局面で為替ヘッジの巧拙がより見えやすく(大企業では財務部)

・予算管理において、最終着地予定の予算を下方修正(輸出企業のケース)

・海外からの輸入取引を始めたりして、経理システムの対応や取引フローの策定に関与



第9位:説明難しいよ、法人税率変更による繰延税金資産の修正

つい最近決まった税制改正による対応ですが、今回の法人税率で特徴的なことは、繰延税金資産の計算を単一の税率だけでは行えない点です。


私の会社では有価証券評価差額の仕訳は、派遣の方が起票するのですが、今までは機械的に単一の実効税率を乗じていればよかったのが、売却及び償還予定の年度を区別して計算しなくてはならなくなりました。


「なんでそうするの。私でも分かるように説明して。」


と言われても、税効果会計はいくつかの知識を前提として成り立っています。

一瞬何も思い浮かばず「ちょっと考えさせて。」と10秒以上固まってしまいました。


何となくは分かってもらえたようですが、より良い説明方法が必要だと思いました。


なお、当該改正によって減税なのに当期利益が減少してしまう点については、Octopus's Gardenさんのブログ に分かりやすく書いてあります(勝手にリンク貼ってすみません。)



第8位:大王製紙 vs 監査法人トーマツの巻


大王製紙事件について、世間へインパクトを与えたのは、元会長への多額の貸付金でしょう。数十億円が焦げ付いており、非常に悪質であることは間違いありません。

しかし会計士である私は、後に大王製紙HPにリリースされた他の会計上の問題点の修正報告の方に驚きました。


大王製紙曰く「過去に監査法人が指導したとおりにしていたら、12月になって間違っていたから訂正してほしいと言われた。」と。


正直言って、会計監査の現場レベルで監査法人スタッフが間違ったことを言ってしまうことはしばしばあることです(それもイケてない話ですが。)


しかし、今回の修正内容は監査法人でも上のクラスまで関与しているであろう内容。


見たときに久しぶりに「やっちまったな~↑」と言ってしまいました。



第7位:決算の意味をなしてる?東電決算


(以前に、こんな記事 を書きました。)


東電は、やはり全くお金が足りず実質国有化となりました。今も廃炉費用を見積もりきっていないとか言われています(私がいつも見ているブログ、会計ニュースコレクターさんよりhttp://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/5104.html


今、改めて問う。2011年3月期決算は実態を表していたか。


3月決算発表時は、東電及び監査法人はベストな見積りを行ったということを暗に言っていた訳ですが、こんな状況です。


潜在的な影響が、債務超過や1兆円を超えると言われるレベルなのですから、監査法人は少なくても限定付適正意見(オリンパスの件であずさが出しました。)を出すべきだったと思います。


会計関連の事件性は今のところ無いですが、決算が全く意味をなしていない状況が見過ごされていたり、価格決定の不透明であったり、見積りが難しい領域があるという実例となる(IFRSの一部、ex.非上場株式の公正価値評価へのアンチテーゼ)等、ほってはおけない論点が盛りだくさんのため、7位にランクさせていただきました。



第6位:死角からの刺客、消費税95%ルールの見直し


企業における消費税処理において、重要なルール変更がありました。


95%というのは、売上全体に占める課税売上(消費税を徴収する売上)の割合です。


詳細を書くには、消費税の仕組みから書くことになってしまうため省きますが、上場企業だけでなく日本中の多くの会社の経理実務に影響を与える改正であること、何でそんな面倒なことをするんだ!という怒りもあることから、第6位に。



第5位以降は、また書きます(できれば年内に。)