「クリエイターに必要な三要素」 | 東京リーシングと土地活用戦記

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クリエイターに必要な三要素


          早乙女哲哉(天ぷら「みかわ是山居」主人)


              『致知』2013年7月号
               特集「歩歩是道場」より


$東京リーシングと土地活用戦記



(修業に入った老舗天ぷら屋で)始終考えていたのは
「天ぷらとは一体何か」ということ。

自分のしていることを具体的に言葉で説明できなければ、
きょうは調子がよかった、悪かったという話で終わってしまい、
コンスタントな仕事ができない。

そこで先述したように、自分の行動に
「いまがベストか」と必ず問答を掛けるようにし、
少なくとも天ぷらに関しては、
どんな質問を投げかけられても
全部答えられるようになろうと誓いました。


例えば天ぷらを「揚げる」とはどういう状態を言うのか。
私の出した結論は「蒸す」と「焼く」とを
同時進行で行う
、ということです。

油自体は火がつく寸前の三百六十度近くまで
あげることができますが、
天ぷらの衣や魚には水分があるため、
揚げている素材は百度を超えることがありません。

揚げるというよりは、百度で「蒸して」いる状態
です。

しかしそのまま油に入れておくと、
徐々に水分が抜けていき、
完全に水が抜け切ったところは、
百度から一気に二百度近い温度へと飛ぶ。

すると百度で「蒸す」のと、
二百度で「焼く」調理とが同時進行で始まる
のです。

その原理を認識していれば、魚のクセを取ったり、
衣をいかにつければよいかといったことが
自分自身で把握できる
ようになります。

理論はよく分からないが、
油の中に入れていれば勝手に揚がるなどと思っていると、
自分から何かを仕掛けていくことなど不可能で、
経験が蓄積されていきません。

詰まるところ、魚も、野菜も、
元は皆生きるために海の中にいたり、
野にあったりしたもの。

それを、料理人は食べるために
置き換える作業をしなければならない。

いま、どこの料理の世界でも、
奇をてらったようなものが大流行りですが、
果たしてそれは本当においしいと言えるのか。
お客さんに面白い料理だと喜ばれればそれでいいのか。

真のクリエイターとは、
科学者であり、数学者でもあり、
なおかつ優れた感性がなければいけない
というのが私の考え
です。

従ってお客さんから「おいしいですね」と言われたら、
「えぇ、そうやって揚げてます」と答えられる。
天ぷらがおいしく揚がるよう、
結果が必ずそうなるよう、
一挙手一投足、計算し尽くした中でものづくりをしている
、と。

それは即ち次に来ても、
そうやって揚げられますよということであり、
この次も気を抜かずやらなければいけない

という自分自身への戒めでもあります。


※詳しくは、現在発行中の『致知』7月号(P28~31)の
 記事をご覧ください。

致知出版社の「人間力メルマガ」-----2013年6月18日 ◆



   設立まもない東レインターナショナルの年商を6倍に拡大して
   成長の軌道に乗せ、30年赤字続きで再建不可能といわれた
   繊維商社の黒字化を1年で成し遂げた田中健一氏。

   本日は『致知』の好評連載「二十代をどう生きるか」より、
   記事の一部をご紹介します。



┌───今日の注目の人───────────────────────┐



     「酔いは一瞬で覚めた」


      田中健一(東レインターナショナル元社長)



              『致知』2013年7月号
               連載第32回「二十代をどう生きるか」より


└─────────────────────────────────┘


もう一つ、私に目覚めるきっかけを与えてくださったのが、
二十代後半に仕えた十歳年上の課長であった。

しばしば酒にも付き合わされ、怪気炎を上げる彼の姿を
当時の私は側でうんざりしながら見ていた。

何か凄いお話をされていることは感じていたが、
それをキャッチできるだけの問題意識がなかったのである。

あの時のお話を少しでもメモしておけば、
いまどれほど役立っただろうかと悔やまれてならない。
それほど才気溢れる方だった。


ある日、その課長の自宅にお邪魔して飲んでいた時、
私は「いつ営業に出してくれるんですか」と
つい愚痴をこぼした。

すると彼は、ガラガラッと傍らの押し入れの戸を開き、
置かれていた木箱を開けて見せてくれた。
木箱の中にはびっしりとノートが詰め込まれており、
その数は恐らく百冊は下らなかったであろう。


「お前は俺がいつも大ボラ吹いていると思っているだろう。
 しかし俺の話はこういうものに裏付けられているんだ」


促されて開いてみると、まず課長自ら描いた
紡績機の設計図が目に飛び込んできた。

そればかりではない、
化学から経済まで、あらゆる分野についての
図や数字がびっしりと書き込まれており、
彼がこれまでどれほど勉強を重ねてきたかが
一目で分かった。


私は雷に打たれたようなショック
を受けた。


課長は私におっしゃった。


いいか、自分たちがつくったものが、
 どこへ売られて何に変わり、
 最終的にどういう形で消費されるのか。

 そこにそれぞれどんな問題があるのか、
 分からなければ商売はできない。
 文句を言う暇があったら勉強しろ」


酔いは一瞬で覚めた。



あの時目覚めたおかげで、私は他社との交渉の際、
例えば原料が足りないという話になった時など、
どのくらい原料があればどれだけ製品をつくれるか、
その場でサッと化学式を描いて計算することができる。

相手も本気になって考えてくれるから、
話が実質的に進むようになる。

二十代の終わりにニューヨーク勤務になった時も、
まだ一ドル=三百六十円で日本品が
コスト競争力があった上に、
私が商談で細かいことまで即答して
先方の必要性に具体的に対応できることが評価され、
面白いようにお客様が増えた。

日本の工場でアメリカ向けに生産される製品の
半分くらいを出していたほどで、
会社での評価云々よりも、
とにかく商売が面白くて、面白くて、一心不乱に働いた。




クリエイターって・・

職人だけではない・・

仕事をしている人達は・・

みんなそうではないのか・・

そうではないと・・

勘違いしている人達は・・

仕事に、楽しみも、価値も、富も生み出した事の無い・・

ただの、ぶらさがり族か??