7月1日発売(PHP研究所)
佐々淳行氏に聞く菅首相のエピソードと市川房枝氏
2011/06/30 11:12
今朝の毎日新聞政治面に、とても興味深い囲み記事が載っていました。民主党国対の役員室に、「感動した。菅どうした」「百害あって一利なし」「宰相不幸社会」と書かれた「書」が貼られたという内容です。今回の浜田和幸参院議員の一本釣りをはじめとする菅直人首相の政治手法に、政権内部にもいかに不平不満が鬱屈しているかを示すエピソードですね。
自分の党の代表である現職首相を、ここまで悪し様に言わざるを得ない心中はいかばかりかとも思いますが、さっさと辞表をたたきつけろとも言いたくなります。
で、その菅首相は昨夜、自分のせいで国会が1週間以上も空転していることなどどこ吹く風と、首相官邸を4時間も離れて寿司屋→焼き肉店→イタ飯屋と3軒はしごし、いい気分になっていました。同席者によると、1軒目ではビールと焼酎を飲んでいたそうですが、店を見るとこのほかマッコリだとかワインだとかも飲んでいそうですね。いい気なものです。
菅首相はよく、被災者のことを24時間忘れたことがないとか、「決死の覚悟」で取り組むとか口にしますが、そらぞらしいことこの上ないですね。鳩山由紀夫前首相とは別のタイプの言葉の軽さを感じます。
こうした菅首相のどこまでも厚顔無恥な言動をみて、なおかつ菅首相を支持している人とはどういう心境なのかなと今朝、通勤途上にふと考えました。まあ、実際にはいろいろなパターンがあるでしょうが、一つには、その人自体が菅首相と同様に恥というものを知らないので、菅首相がいかに恥ずかしい振る舞いを続けようと、別に気にならないし、不思議だとも思わないのかなと愚考した次第です。
人は自分がいま持っている「良識」以上の良識を持とうとはしないものだし、2500年前に書かれたプラトンの「メノン」には、ソクラテスが「徳というものは、教えられうるものではない」と結論する場面が出てくるし、これはまあ、どうしようもないことであるのかもしれません。
さて、今朝の産経紙面でも少し触れましたが、昨日に初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏から、この菅首相に関するエピソードを少し聞いたので紹介します。(参照、私のエントリ「菅首相の『原点』と市川房枝氏の指摘について」http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/2308138/)
それによると、佐々氏は警視庁警備一課長当時、菅首相の母校である東京工業大学の加藤六美学長の要請で、学生だった菅氏を捜査していたそうです。加藤学長は、アジ演説がうまく、学生たちを煽っては不埒な行動をそそのかす菅氏に困り果て、相談してきたとのことでした。
ところが、「第4列の男」と呼ばれた菅氏は逃げ足が速く、結局逃げられたといいます。この「第4列」の男についての解説は、今度、総務政務官に就任した浜田和幸氏が昨年11月の参院本会議で以下のように述べています。こんな人の部下になりたがるなんて、浜田氏も不思議な人物です。
《思えば、東工大の学生のころ、菅総理は学生運動のリーダーでした。小生も国際反戦デーのデモに参加したものです。その当時、菅総理は四列目の男と呼ばれていましたね。デモ隊の四列目にいれば、機動隊とぶつかっても捕まる可能性は少ないから。留年までして学生運動の指導者であり続けていながら、あなたはいつでも逃げることを考えていたようでした。》
そういうわけで、佐々氏は菅氏の学生時代から、顔と名前を知っていたそうですが、奇妙な縁があったのか、この二人は再び接点を持ちます。菅氏がその後、婦人運動家の市川房枝元参院議員に近づいて踏み台にしていく話は有名ですが、佐々氏の実姉の紀平悌子氏が当時、市川氏の秘書を務めていたのです。
紀平氏は当初、菅氏のことを佐々氏に「いい青年が来た」と語っていたそうですが、その見方はすぐに覆ります。あるとき、佐々氏が姉の紀平氏に、「市川さんは菅氏のことを評価しているの?」と聞くと、紀平氏はこう答えました。
「何を言っているの!市川さんは『菅はよくない』と怒っているわ」
その後、衆院議員となった菅氏は、政治家のパーティーの場などで佐々氏を見つけると、佐々氏が東工大時代の菅氏の件や、姉のことを言い出す前に、一方的に「いやあ、紀平さんと私は本当に仲がよくて」だとか「いつも佐々さんには大変お世話になって」だとかしゃべりまくり、言葉をはさませないのだそうです。佐々氏はこう語りました。
「市川さんは菅氏に利用するだけ利用されて、いま生きておられたら本当に不愉快だろうと思う。菅氏は昔は『第4列の男』だったが、今では私は『4番目の男』と呼んでいる。東電の清水社長、海江田経産相、岡田幹事長に問題はみんな押し付け、自分は矢面に立たずに逃げている。でも、菅氏が開き直って市民ゲリラを国会と官邸のど真ん中で始めちゃったので、セオリー重視の自民党の谷垣総裁にはなかなか対抗できないだろうなあ…」
なんだかなあ…。どうしたものかなあ。
カテゴリ: 政治も > 政局 フォルダ: 指定なし コメント(48) | トラックバック(11)
「脱原発解散」が現実味を帯びてきてげんなり
2011/06/27 15:21
…もうため息しかでません。国民をどこまでも疲弊させ、絶望のどん底に突き落としつつひたすら元気な我らが宰相、菅直人氏のことや、現下の政局の件など汚らわしくて考えたくないし、触れたくもないのですが、日々あれこれと情勢がムダに動いているので、追っかけざるをえません。
で、現在、永田町で「大いにありうる」と語られているのが、菅首相による延命を懸けた「脱原発解散」です。ふつう、勝算なく衆院解散はできるものではありません。周囲も止めますし、何より首相自身が「大敗して同志議員を大量に討ち死にさせた首相」との汚名を歴史に残すことにプレッシャーを感じざるをえないということがあります。
しかし、菅直人首相の場合はどうでしょうか。どうせこのまま行けるところまで粘ったとしても、8月中には行き詰まるのだから、もう失うものはありません。最近は盛んに、輿石東参院議員会長らが万が一にも菅首相が8月中に辞めないということがないように、対外発信して「たが」をはめようとしていますしね。もうすでに人格・識見・能力については「史上最悪」という評価が定着しているので、これ以上評判を落とすはありませんから。
今のところ民主党幹部連中は打ち消しに懸命ですが、これは確たる根拠があってそうしているというより、そんなの困る、それは筋が違うという意味で、一応否定しているという感じです。誰も菅首相の暴走は止められないのですから。
菅首相としては、このままではじり貧である一方、脱原発を掲げて解散・総選挙を行い、何か致命的な間違いか運命の悪質ないたずらで勝ってしまったら、選挙で信任された首相として、堂々と大好きな「延命」「保身」を果たすことができ、しばらくは首相官邸の執務室で「我が身可愛やほ~やれほ~」と意味不明のことを口走っていることができます。
己を知らず、ことこの期に及んでも、オレは本当は人気者であるはずだ、などど本気で信じていかねない菅首相のことですから、解散という選択肢はとても魅力的、蠱惑的、誘惑的であるはずです。
そして、解散に打って出るには掲げるべき「大義」が必要なのですが、それが脱原発の是非であれば、確かに国民に問うに値する重大なテーマだということもできます。最近、この脱原発と再生エネルギーという有効なキーワードを思いついたらしい首相は、おそらくこれこそオレの歴史的使命だとばかりに例の誇大妄想に陥って、周囲の困惑をよそにいよいよ他者とかかわりのない世界で遊ぶようになったようです。
私も国民の信を問うこと自体は大賛成です。菅首相自身、野党時代は「衆院選を経ていない首相は『仮免許』だ」と主張していましたしね。ただ、私は菅直人首相には脱原発をテーマに解散に出る資格がないと考えているだけに、何だかイヤな雰囲気だなあと感じているのです。
例えば、自民党の小池百合子総務会長は24日の記者会見で、最近、急に菅首相が成立に意欲を示しだした再生エネルギー特別措置法案について、こんな話をしていました。
「例えば3月11日に例の再生エネルギー法案、これについて役所から総理の元にブリーフィーングに行ったところ、3月11日の時点で再生エネルギーについて菅総理は何も興味を示さなかったそうだ。突然火がついたのが、たぶん(ソフトバンク社長の)孫正義さんとの話があってからのことではないかと。何か再生エネルギーをすることが正義の味方みたいなところがあるけれども、正義は正義でも孫正義の正義ではないか」
例の、孫氏に「なんていい人なんだ」と激賞された会合以降、菅首相が俄然やる気になっていることを言っているのでしょうが、「孫の正義」とはうまいですね。でも、これがあまり洒落や冗談では済まされないところが心配です。
そもそも菅首相は、当選以来、時折、思い出したように国会質問などで再生エネルギーについて言及してきたのは事実ですが、少なくとも政権交代以降、この問題に特に取り組んできた様子はありません。それどころか、今年1月の施政方針演説で「私自らベトナムの首相に働きかけた結果、原発施設の海外進出が初めて実現します」と原発ビジネス成功を手柄誇りしていました。
菅首相、鳩山由紀夫前首相、仙谷由人官房副長官は競うように原発ビジネスの国際展開を行ってきましたし、菅政権は今もそのビジネスを進めています。それなのに、脱原発をテーマに解散するとしたら、それは国際的ペテン以外の何物でもないと愚考します。
というより、将来的に再生エネルギーの方にシフトしていくということ自体には、与野党ともに反対する党はないはずです。あまり急進的にやろうとすると、国民生活にも日本経済にも大きな影響が出るとの懸念は当然出ていますが、解散時に「脱原発」が大義として振りかざされると、そうした穏健な意見も、すべてを単純化して善悪二元論に持ち込む人たちによって「原発利権屋の反抗」として排除されかねない怖さがあります。
そしてその結果、人類よりもダニ、ムカデ、ナメクジ、ヒル、毛虫、寄生虫…などと並べて分類した方がぴったりくるようなナントカが勝利を収めて居座りを決めるなんてことになれば世の中真っ暗ですから。まさか有権者がそんな判断を下すとは思いませんが、もしそんなことになったら、日本は社会正義に反した非道徳的・非倫理的国家として世界に指さされることでしょう。
きょう発表の産経とフジニュースネットワークの合同世論調査で、菅政権について「評価する」人の割合を見ると、「首相の指導力」(8.0%)、「景気・経済対策」(11.0%)、「外交・安保政策」(13.0%)、「福島第1原発事故への対応」(13.5%)…と軒並み低評価であるにもかかわらず、「原発への依存度を減らす方針」については、68.4%が評価していました。
菅首相もそのスタッフも、こうした数字はチェックするでしょうから、うんうんと意を強くする可能性がありますね。というより、これしかないと思い詰めていく危険性だって否定できません。菅首相のようなポピュリストは、先日のイタリアの国民投票結果なども間違いなく脳裏に刻んでいることでしょうし、どうもなあ。
繰り返しますが、原発への依存度を漸次減らしていくことに関しては、与野党とも特に反対はないと思います。それなのに、菅首相が「見えない敵」として守旧派・既得権益派を勝手に想定してそれをたたくことで選挙に勝とうとしているとしたらどうでしょうか。
菅首相は、本当に恐るべき「人災」そのものであり、日本に災厄をもたらす「禍日神」、あるいは「大貧乏神」であると感じています。あの不景気面を1年以上も見続けてきたせいか、なんか私の精神も少し病んできたのではないかとそんな気も…。
※追伸
前回エントリで民主党の国対役員室に「百害あって一利なし」という菅直人首相を批判する書が貼られたという話を書きましたが、それについて仙谷由人官房副長官自筆のものであるという情報が入りました。うーん、これ以上、私には真偽は詰められませんが、すぐさま内部からこういう情報が寄せられること自体、もう終わっているような…。
国を憂い、われとわが身を甘やかすの記
永田町をうろうろしながら感じたことや、面白かった本の感想などを記し、ときに国の将来を考えたりもします
阿比留瑠比さん
政治部首相官邸キャップ。政治部の前は社会部、その前は文化部生活班に所属。趣味は読書とマージャン。至福の時間はビールを飲み、うまいつまみを食べながら、好みの本(漫画も含む)を読むこと。持病は喘息、高尿酸血症、逆流性食道炎などいろいろ。
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百害あって一利なしーーー
昨日も、おばあさんに、メールをしながら・
席を譲らない若い人達を電車で見ました・
ちょっと離れていたんだけど・・・
相変わらず、やな光景だねーー・・
