【2010市場展望(3)】中国~上海万博は経済効果大、人民元切り上げなら円高(10/1/22 Nikkei Net)
2010年のマーケットを読み解く第3の材料は中国経済です。中国経済は先進国に比べていち早く立ち直りをみせて世界経済の下支え役を果たしていますが、2010年には上海万博が開かれます。これを機に一段と成長を加速させ、日本のマーケットを支えることが期待されます。
中国の実質国内総生産(GDP)は年率10%前後の成長を続けていましたが、リーマン・ショック後には6%台まで落ち込みました。しかし2009年1~3月期の前年同期比6.1%を底に、4~6月期は7.9%、7~9月期は8.9%と大幅に回復しています。
上海総合株価指数も2009年初からの上昇率はほぼ80%に達し、先進国と比べて株価の戻りは際立っています。2010年も引き続き高成長を保ちそうな勢いで、IMFの予測によれば2010年の中国の成長率は9.0%の見通しです。
中国経済には2つの顔があります。米国の最大貿易相手国=輸出先として米国経済の影響を受ける国という顔と、国内での投資が急速に拡大している新興国としての顔です。前者はリーマン・ショックで大きく落ち込みましたが徐々に回復、後者はそれほど大きく落ち込まずに好調が続いています。2010年は5月から6カ月間開かれる上海万博によって、後者の顔がより大きくなるといえます。万博に向けての大規模な投資、万博に訪れる観光客による消費増などの経済効果が期待できます。2008年の北京五輪のときもそうでしたが、国家的なイベントは国威発揚の場となるため政府の全面的なバックアップの下で経済効果も大きいものになりそうです。
中国政府の政策も高成長持続を最優先としています。大型の景気対策を発動し、公共投資が成長をけん引しています。金融当局は基本的には金融緩和を継続する方針を示しており、株価上昇を支えています。金融緩和によってカネ余り現象が生じており、投資資金が株式市場や不動産などに向かっているのです。
カネ余り現象は中国の為替政策とも密接に関連しています。中国政府は人民元の対ドル相場を一定範囲内の狭い値幅に収めるように、中国国内の為替市場で毎日のように多額のドル買い・人民元売りの介入を実施しています。これは大量の人民元が国内市場に供給されることを意味し、その資金がやはり株式や不動産投資に還流しているわけです。
2010年もこの流れが持続するというのがベストシナリオです。しかしリスク・シナリオも想定しなくてはいけないでしょう。前述のカネ余りはバブル的な要素もあり、これが何かのきっかけで弾けるというリスクです。過熱を抑えるため、当局が投資の抑制や規制に乗り出したり、金融引き締めに転じる可能性がないとは言えません。そうなれば、株価は大きな影響を受けるでしょう。実際、中国政府は年明け早々に預金準備率の引き上げを発表しました。預金準備率は国内の銀行が中央銀行に対して預け入れる資金の割合を示すもので、それを引き上げることは中央銀行が市中からの資金吸収を増やすことを意味します。これは必ずしも金利引き締めに直結するものではありませんが、過度な金融緩和を是正する姿勢を見せたと受け取れます。今後、中国政府が金融緩和路線を転換するのかどうか、目を凝らして見ておく必要があります。
為替相場への影響も念頭においておかなければなりません。以前から米国などは中国に対して人民元の切り上げを求めていますが、最近の米中接近の動きから推測すると、政治的な思惑を絡めて何らかの形で人民元切り上げに動く可能性は大いにあるとみています。その場合は人民元高・ドル安となり、それに連動して円高・ドル安につながりやすくなります。
このほか、中国には国内の格差拡大、少数民族問題など政治的な不安定要因が無視できません。これもマーケットにとってはリスクです。ただそうした問題を抱えながらも、2010年には世界の中で中国の存在感がますます大きくなるでしょう。名目GDPで中国は日本を抜いて世界第2位になることは確実です。G20サミットや11月に日本で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議など、国際会議でも中国の発言力は一段と強まるでしょう。
日本の株式市場でも中国株の影響力が強まっています。上海株式市場は日本時間午前10時30分に取引が開始されますが、東京市場では毎日その時間になると上海市場の寄り付きに注目が集まります。その動きによって東京市場の流れが変わることが頻繁に起こります。2010年は今まで以上に中国の動向に注意を払う必要がありそうです。
岡田晃氏
1971年慶応義塾大学経済学部卒業。同年日本経済新聞入社。産業部記者、編集委員などを経て、91年テレビ東京に異動、経済部長、テレビ東京アメリカ社長(NY支局長兼務)、理事・解説委員長などを歴任。その間、テレビ東京では「ワールドビジネスサテライト(WBS)」プロデューサーをはじめ、数多くの経済番組のプロデューサー、コメンテーターを務めた。
2006年にテレビ東京を退職し、経済評論家として独立。大阪経済大学大学院客員教授に就任。教鞭をとるかたわら、テレビ出演や雑誌等への寄稿、講演などで活動中。
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