ウォーレン・バフェットであっても、常に正しい保証はない | 東京リーシングと土地活用戦記

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ウォーレン・バフェットであっても、常に正しい保証はない——岩崎日出俊・インフィニティ代表取締役

——ウォーレン・バフェットがニューヨーク・タイムスに「株を買っている」と寄稿しました。

1929年の10月30日には、財界の巨人ジョン・ロックフェラーが株式市場について、公式の声明を発表しました。「アメリカ経済の基礎的条件は健全であると信じます。そこでここ数日は、息子と私は健全な株を買っています」と。今回は、今日の世界最大の富豪であるウォーレン・バフェットが昨年の10月、ニューヨーク・タイムスに「人々が強欲な時に私は恐れ、人々が恐れている時に私は強欲になる。1カ月とか1年とか、短期的にどうなるかは予測はつかないが、いずれ株価は高くなるだろう。コマドリの来るのを待っていては、春は終わってしまう」と寄稿しました。

今回の金融危機においても、バフェットのバークシャー・ハザウェイの株価はダウほどには下落していません。常にS&Pを上回るパフォーマンスを獲得してきたバフェットの言動には、注目せざるを得ないでしょう。ただ、それでもバフェットが常に正しいわけではありません。

ひとつには、バフェットは大恐慌後、基本的には米国経済が右肩上がりだった時代に、投資を始め、富を築いた人であるからです。1929年に彼が投資を始めていたならば、元の水準に戻るのに25年はかからなかったでしょうが、その間は、キャッシュで持っていたほうがよかったでしょう。彼が長期投資、ファンダメンタズル分析で成功したのには、時代背景といったものもあるのです。

リーマン破綻後、昨年9月から10月にかけて、バフェットは、ゴールドマンサックスとGEの株を買いました。ただバフェットはバフェットであるが故に、極めていい条件を引き出したうえで、投資を行っているのです。優先株で10%配当が保証されていますから、10年で少なくとも投資金額は回収できる。おまけに普通株に転換する権利も付いており、投資先がつぶれない限り、株価が回復すればこのオプションが行使できるのです。ですが、それでも「少し早かった」と後悔はしているでしょう。彼以上の投資家がいないことは確かですが、それでも大恐慌には勝てないのです。

——今、この状況で、企業のファンダメンタルズをどう読みますか。優良企業の象徴としてのトヨタ自動車を例にとると?

ファンダメンタルズ投資家としての最高峰であるバフェットは、トヨタ自動車の株式を買っていません。「バフェットは日本株は買わない」という人もいるでしょうが、中国のペトロチャイナに投資した実績があります。日本株と中国株を比較すれば、透明性などの観点からは遙かに日本株が優れているのですから、バフェットもトヨタは見ているでしょうが、投資していないということです。

トヨタという会社をどう見るかですが、キャッシュフローを2兆円稼ぎ出していた数年前であれば、それが維持できていれば8000円でも株価は高くなかったでしょう。ただ、ここ数年、アメリカの戦略を間違うなど問題がありました。中枢にいても現場の情報が伝わるというのが、正しい経営だと思いますが、新社長の豊田章男氏が「現場に一番近い社長でいたい」と語っているのは、そうでない部分があったからでしょう。そもそも自動車産業は、恐慌というものに対して極めて弱い業種であるのです。恐慌においては、住宅と自動車が引っ張って経済が悪くなります。ただ、10年後、どこが勝ち残るかと見た場合に、トヨタが筆頭候補であることは確かです。企業は経営者によっていかようにも変わります。新社長次第では、投資家は期待ができると思います。

——世界経済の先行きをどう読みますか。

世界がこれから回復に向かうのか、それとも今のようになべ底のように悪いままなのか、さらにもっと悪くなるのか、2009年が分岐点となります。そのカギを握るのは米国です。もっと悪くなるというのはドルが大暴落する、さらには各国で通貨自体が大暴落を起こすという事態ですが、そうなると人類はいまだ経験したことのない悲劇に向かうでしょう。

ただ、私は楽観的かもしれませんが、7割の可能性で、オバマの政策が上手くいき、米国中心に世界経済は回復に向かうと考えています。

——個人投資家に対する処方箋とは?

どう考えてもデフレになるのですから、一番やってはいけないことは借金をすることです。それから、今こそきちんとおカネを預金で持つことですね。皆が銀行預金にしてしまえば、合成の誤謬に陥ってしまうので、政策はそうならないようにしないといけません。ただ、個人としては、まず自分を防御することが先決です。

「落ちてくるナイフは拾うな」とは西洋の格言ですが、これも最も成功したファンドマネージャーといわれる、ピーター・リンチの言葉でもあります。今回もリーマン破綻による株価下落の後、落ちてくるナイフを拾いにいったら大ケガしたでしょう。ただ、同時にリンチは、「落ちた後に跳ね返ってきたところをつかめ」とも語っています。そのようにゆとりをもって、投資をしても決して遅くないのではないでしょうか。

(プロフィール)
岩崎日出俊
1953年、東京都生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、日本興業銀行に入行。スタンフォード大学経営大学院で経営学修士取得。1998年より2003年までJ・Pモルガン、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズ証券会社にてマネージング・ディレクターとして企業の合併・買収の最前線で指揮を執る。現在、経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役。『サバイバルとしての金融』『投資銀行』『リーマン恐慌』などの著書がある。

09/03/05 東洋経済



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