サイゼリヤ、すり抜けたチェック機能
外食を揺さぶる中国リスク
圧倒的な安さとボリュームで中高生から高齢者まで幅広い客層の人気を集めるイタリア料理のファミリーレストラン「サイゼリヤ」。10月20日、同社のピザ生地から有毒化学物質のメラミンが検出されたことが分かった。1年半前から中国の金城速凍食品に製造を委託していたものだ。
ピザは1日1店当たり50枚前後の注文が入る売れ筋。該当商品は10月2日までに東日本の店舗で提供されたという。他社製品でメラミン混入が相次ぎ、9月22日に原材料から乳成分を除外。しかし、それ以前に製造したものが消費された。混入は、25日に厚生労働省から指示された自主検査を実施後、10月16日に判明した。
危機管理は“万全”のはず
中国で製造していたピザ生地から有毒化学物質が検出された
本来、サイゼリヤの製品管理体制は機動的に働くはずだった。
8月20日頃、サイゼリヤの人気商品の1つ「エスカルゴのオーブン焼き」がメニューから忽然と消えた。同社が毎日実施する自主検査で、微量な菌の発生が確認され、直ちに提供を止めたためだ。人体に影響はないが、在庫は全量処分。高山幸久取締役購買統括部長をヘッドにして原因究明が始まった。
結果が報告されたのは8月25日午後2時過ぎ。サイゼリヤ神奈川工場(神奈川県大和市)3階の会議室は緊張感に包まれていた。「ちゃんと原因は分かったのですか。どこに障害があり、どう解決していくのか。その手順を説明してください」。正垣泰彦社長の声が響いた。
外食企業にとって8月は書き入れ時だ。エスカルゴのオーブン焼きも注文量が増大。福岡県内にある取引先の加工工場の稼働率が100%となり、長崎県内にある別の加工工場に生産を委託した。エスカルゴは中国産。流通経路も調べたところ、長崎県内の生産過程でのトラブルであることを突き止めた。工場側も非を認め、新たな対策を講ずることをサイゼリヤに約束した。
だが、サイゼリヤは拒否した。「抜本的な対策ではなく、同じことを繰り返す恐れがある。そうならない保証を担保できる説明になっていない」(堀田康紀取締役経営企画部部長)という理由だった。担当者は長崎工場との取引を中断。福岡工場に増産体制を整えさせ、大量の注文が来ても品質がばらつかないことを確認して、委託を決めた。メニューは9月上旬に復活した。
調査機関への信頼がアダに
今回は瞬間的にではあるが、こうした品質管理体制をすり抜けてしまった形だ。正垣社長はこう反省する。
「工場のある仏山市の公的な調査機関から、サイゼリヤ向けの商品でメラミンは検出されなかったという証明書を受け取り、それを過信してしまった」
ここ数年、中国食材への信頼は大きく揺らいでいる。公的機関の書類ですら、信ぴょう性を欠くケースもある。同社にツメの甘さがあったのは否めない。
ただ、こうしたリスクを完全に排除するのは難しい。例えば、最近、農薬が検出された冷凍インゲンの場合、「ボイル時と袋詰め時、出入国時など6回近い検査が施されており、このうえ、万全を期すには全量検査しかない」(すかいらーく)。それでも、検査対象外の薬品などが意図的に混入された場合などはお手上げだ。
外食企業では原価の安い中国食材を追放しては経営が成り立たない。人件費の安さや地理的な近さから、加工費や輸送費がほかのアジア地域より抑えられるからだ。
特に、景気が冷え込み、消費者の自衛意識が高まっている今、メニュー価格引き上げは致命傷になりかねない。中国食材の使用中止は、自社の首を絞める恐れがある。
正垣社長は「今後は自社で監査体制を強化して精度を高め、中国食材の使用は継続したい」と話す。外食企業は安全と安さの深いジレンマに苦悩している。
日経ビジネス2008年10月27日号
サイゼリヤさんは、今まで、多摩地区に2店舗、
つくらせてもらいました。
イタリアンが、手頃な値段で食べられ、
若い人、ファミリーにもとても人気の高いチェーンです。
ちゃんとした会社さんですよ。
中国の公的検査も、信用できないとは、しかし、こまったもんですねー!!
株式会社サイゼリヤ
Saizeriya Co,. Ltd.
種類 株式会社
市場情報
東証1部 7581
本社所在地 〒342-0008
埼玉県吉川市旭2番地5
電話番号 048-991-9611
設立 1973年5月1日
業種 小売業
事業内容 イタリア料理店「サイゼリヤ」をチェーン展開するフードサービス業
代表者 代表取締役社長 正垣泰彦
資本金 86億1,250万円
売上高 単体827億円 連結849億円
総資産 単体610億円 連結639億円
従業員数 単体1,454人 連結1,589人
決算期 8月31日
主要株主 正垣泰彦 30.51%
株式会社パペット 8.52%
外部リンク www.saizeriya.co.jp