住宅市場の「ミニバブル」崩壊 | 東京リーシングと土地活用戦記

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 住宅市場では、マンション販売にブレーキがかかり、住宅着工も総じて低水準横ばいで推移している。このところ米国の住宅市場にばかりスポットライトが当たっているが、わが国の住宅市場も、陰りが鮮明になってきたようだ。中期的にみても、人口減少などにより実需の増大は見込みにくく、今回の「ミニバブル」の調整は長期化する可能性が高い。

住宅市場の「ミニバブル」崩壊が鮮明に

 当社が個別物件の地価データから算出した、東京圏の地価インデックスによると、2008年4-6月期の前年同期比上昇率は、商業地で8.1%(1-3月期14.8%)、住宅地で4.4%(1-3月期12.1%)となっており、07年後半以降、鈍化傾向が鮮明になっている。このうち住宅地は、指数ベース(1994年4-6月期=100)でみると68.4と、前期(1-3月期)の69.4から1ポイント低下し、05年10-12月期から2年余りの上昇に歯止めがかかり、下落に転じた。これを県別にみると、東京、埼玉はまだ横ばい圏内の推移であるが、千葉(48.6→44.2)、神奈川(75.6→71.2)は下落に転じ、そのペースも速いように感じる(図表1参照)。東京都内は、東京圏の中でも市場が多様なので一概に判断できないが、都心部ではまだ上昇の気配が残るものの、北東部、多摩地区は横ばい、南西部は下落に転じている。





 需要動向をみるために当社では、東京地方裁判所の扱う競売物件の落札状況もフォローしている。いわば司法的マーケットととらえられるものだが、この状況をみると、競売物件に対する応札者総数は、07年度上期の1万3029件から、07年度下期は8084件へと、かなり減っている。応札者の約2-3割は個人であり、この末端ともいえる流通市場でも、需要に陰りが出ているようだ。

 総じて足元の住宅地の地価動向をみると、一部の優良ポイントを除いて横ばい圏にあり、都心から距離的に遠くなる周辺部では下落に転じている。これはマンション、戸建業者とも手持ち在庫の増加を避けるべく値引きに応じている状況も反映している。今回の地価上昇局面を「ミニバブル」と呼ばせていただくとすれば、住宅地でみる限りそのインパクト(上昇率)は2005年のボトムから東京で5割、神奈川で3割、千葉、埼玉で2割ということになる。そのすべてが直ちに調整されて(下落して)元に戻るかどうかは、今後の経済動向による面が大きいが、長い下り坂になることを覚悟する必要があるだろう。





図表2は3大経済圏への人口転入超(転入-転出)という人口移動と、地価変動をプロットしたものである。人口移動により地価がすべて決定されると主張するつもりはないが、この図表をみるかぎり、今回の住宅地価の上昇局面で名古屋圏より大阪圏の上昇率が低かったのは、大阪圏は人口移動が転出超であったことを、ある程度反映していたからではないか。昨年央まで2倍を超えていた愛知県の有効求人倍率が低下に転じ(6月は1.74倍)、名古屋圏への人口流入も今後頭打ちになる可能性が大きいことなどを考えると、大都市圏の住宅地価の趨勢もみえてきそうである。


 若年層が自動車を買わないといわれているが、彼らが同様に住宅取得を敬遠するならば、実際の人口要因以上に新規の住宅需要は限られたものとなる可能性が高い。さらに昨今の天井知らずのエネルギー価格の暴騰を眺めると、公共交通のみで足りる駅に近接したマンションは良いとしても、郊外の最寄り駅から離れた、車の利用が前提となる住宅地価格の下落は大きくなることが予想される。少し長いスパンでみると人口、エネルギー制約の視点から地価の決まり方を考えていく必要があるだろう。


井上明義(いのうえ・あきよし)・三友システムアプレイザル社長

 地価や不動産について豊富なデータに基づき発言し続けている。日本生命保険、ミサワホームを経て、1980年に現在の不動産鑑定会社を設立。鑑定業界に新しいシステムを導入し業界最大手に育てた。土地バブル最盛期に地価の暴落を予測した。著書に「土地の値段はこう決まる」(朝日新聞社)、「地価はまた下がる」(PHP研究所)。1937年生まれ。愛知県出身。

[NIKKEI BIZPLUS 2008年7月31日]


住宅市場の「ミニバブル」崩壊が鮮明・・・

残念ですね・・・