1箱20本入り(290円)のたばこ税の内訳
※税の負担額は,188.69円(定価の65.1%)です。
いまのたばこの税増収論議は「取らぬ狸の皮算用」(Nikkei Bpnet )
たばこ税増税で需要が減り、税収が伸びない現象は、ヨーロッパ諸国でも起きている。
イギリスでは、1993年からほぼ毎年のようにたばこ税増税を実施してきた。その結果、1993年から2006年にかけて、小売価格は2倍以上となっている。しかし、同じ時期に需要が半減したため、税収は横ばいのままだ。
ドイツでも同じことが起きた。2002年、2003年とたばこ税を増税して、小売価格が5割も高騰した。その一方で、需要が4割近く減ったため、こちらも税収は伸びていない。
2002年、2003年には、フランスでもたばこ税増税が行われた。小売価格は4割上昇したが、需要も3割減ったことで相殺され、税収は頭打ちである。
価格が上昇すれば需要が減るというのは、経済原則の基本だ。さらにたばこの場合は、喫煙者の予算制約がはっきりしているように思う。日本人なら、毎月1万円程度がたばこ代の平均になっているのではないだろうか。
昔から、たばこ税と酒税はあわせて4兆円であり、貴重な財源となってきた。それぞれ2兆円ずつの税収があったが、最近は発泡酒などの影響で、酒税は1兆6000億円に減っている。それでもたばこ税は2兆2000億円あるから、たばこ・酒税あわせてだいたい4兆円というラインに変わりはない。
たばこ・酒税があわせて4兆円で安定しているということは、言い換えれば、たばこと酒からこれ以上税金を取るのは厳しいということだ。少なくともたばこについては、その担税力に限界が来ていると言える。具体的には、2兆2400億円前後で「壁」があるように思う。
そういった「壁」を無視して、たばこ税増税で税収増などというのは、「取らぬ狸の皮算用」でしかない。
手品のような話をして、財源がパッと現れたように見せれば、最初のうちはお客も驚いて喜ぶかもしれない。しかし、手品はネタがわれたら終わり。所詮は一瞬の余興にすぎない。もちろん歳出増を求めるバラマキなどもってのほか、無駄遣いのカットはいうまでもないが、手品で国民をごまかすのではなく、税財源を徹底的に洗い直す「聖域なき税制改革」を議論すべきだ。
猪瀬 直樹(いのせ・なおき)
作家。1946年、長野県生まれ。
1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で1996年度文藝春秋読者賞受賞。以降、特殊法人などの廃止・民営化に取り組み、2002年6月末、小泉首相より道路関係四公団民営化推進委員会委員に任命される。政府税制調査会委員、東京大学客員教授、東京工業大学特任教授、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターなど幅広い領域で活躍中。東京都副知事。最新刊に『東京からはじめよう』(ダイヤモンド社)がある。
「取らぬ狸の皮算用」という気はしますよね。
税の負担が65%なんて、たばこ税と酒税はあわせて4兆円なんて、
ひょっとして酒飲みと喫煙者は、お国に貢献するえらいひと???
